顧客も巻き込んで理解されないと進まない「残業削減」

2019年4月8日 18:29

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 私はよくこんな経験をします。
 例えば、月曜日にクライアントとのミーティングがあるとして、その資料作成に必要なクライアントからの情報が、前の週の金曜日の夕方以降に送られてきたりすることです。先方は忙しい中で、何とか自分たちの勤務時間内に終わらせようと頑張った結果だと思いますが、私は土日の間にミーティングの準備をしなければなりません。
 勤務時間が決まっていない自営業なので、このこと自体は何とも思いませんが、これが普通の企業間でのやり取りであれば、受け取った側の会社では、必然的に残業や休日勤務になってしまうでしょう。

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 最近は残業削減に取り組む会社がとても増えていますが、こういった顧客都合や顧客要望に起因する残業は、結構高い比率で存在しています。
 定時後や休日に設定された顧客ミーティング、見積提示や資料作成その他顧客からの急な対応依頼、短納期の常態化などですが、このような顧客は一部の固定的な会社だけだったりします。「多少の無理は聞いてくれる」「これくらいなら大丈夫」と、顧客にインプットされているのです。

 残業削減のためには、こういった顧客も巻き込んで対応する必要があります。自分たちが残業にならないような納期やスケジュール設定を、顧客に理解してもらうことですが、「それは顧客には言えない」という反応をする会社が数多くあります。顧客との関係が悪くなったり、最悪取引を打ち切られたりすることを恐れるからです。

 ただ、私の今までの経験で、実際に顧客にそれを伝えて、関係が悪化したり取引が停止になったりした例は、まだ一度も見たことがありません。立場が変わればどの会社でも同じことがあるので、きちんと伝えればほとんどの顧客は理解してくれます。
 もしもそのことに対してクレームを言う顧客がいたとすれば、それは一方的な要求が多かったり、いろいろ手間がかかったりするようなコスト高の顧客です。よほどのメリットがなければ、無理して付き合う必要はありません。
 それ以外にも、条件が合わなくなって取引がしづらくなることは確かにありますが、こればかりはご縁がないとあきらめるしかありません。

 例えば、あるお店が営業時間を短くしたとして、たいがいの顧客はお店が決めたことに合わせて行動してくれます。どうしても来店が難しくなる人はいるでしょうが、お店に魅力を感じていれば、どこかで時間を作って来てくれることもあるでしょう。クレームを言うような人がいたとすれば、それはお店にとって、あまり良い顧客ではないのではないでしょうか。

 残業削減は、ただ時間管理をするだけでなく、優先順位の低い仕事はやめなければなりません。そのためには、顧客も巻き込んでいかなければなりませんが、それを「顧客都合だから」と考えることをやめていては、いつまでたっても何も変わりません。社員個人で顧客に働きかけるのは難しい点もありますから、会社全体で動くことも必要でしょう。
 筋を通して働きかければ、顧客は意外に理解してくれるものです。

 ※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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