大質量星からなる連星の起源 アルマ望遠鏡が明らかに 理研などの研究

2019年4月3日 20:15

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今回発見された大質量連星系の現在と過去の姿の概念図 (c) 理化学研究所

今回発見された大質量連星系の現在と過去の姿の概念図 (c) 理化学研究所[写真拡大]

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 理化学研究所や大阪大学などから構成される国際研究グループは、アルマ望遠鏡を用いて、形成段階にある大質量星の連星系を発見し、その公転運動を明らかにした。今回の発見により、連星を構成する大質量星が誕生する仕組みの解明につながった。

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■大質量星の観測を遮るガス雲

 大質量星は、太陽の8倍以上の質量をもつ恒星だ。ほぼすべての大質量星は「伴星」と呼ばれる兄弟星を伴う連星系として存在することが、近年の研究から判明している。

 高密度なガス雲が重力によって収縮することで大質量星が誕生すると考えられているが、そのシナリオに関しては意見が分かれる。ひとつは先に生まれた主星の周りのガス円盤が分裂し伴星が誕生する説で、もうひとつは高密度なガス雲が収縮する過程で2つ大質量星が独立して誕生する説だ。

 大質量連星系の誕生の謎を解くには、形成段階にある大質量連星系の性質を観測する必要がある。ところが星から放射される波長の短い光はガス雲で覆われているため、直接観測できない。そこでガス雲を通り抜けできる波長の長い電波が観測可能な、アルマ望遠鏡を用いて、研究グループはこの謎を解くことを試みた。

■アルマ望遠鏡が明らかにする「水素再結合線」

 南米チリのアタカマ砂漠に位置するアルマ望遠鏡は、国立天文台と米欧が協力して建設した干渉計だ。アルマ望遠鏡は、さまざまな波長の電磁波を検出できる。

 研究グループは、地球から約5,500光年彼方の大質量連星系「IRAS07299-1651」から放射される波長1.3ミリメートルの電波を、アルマ望遠鏡を用いて観測した。その結果その領域の中心に、2つの若い大質量原始星が約180天文単位離れて存在することを発見した。

 「水素再結合線」と呼ばれる水素イオンと電子が結合する際に放出されるスペクトル線が、各原始星周辺のガスから観測された。これにより、どちらの原始星もすでに強力な紫外線を放出する程度まで質量を獲得していることが判明した。

 研究グループは、電離ガスから放出される水素再結合線により、公転軌道が円形の場合には、2つの原始星の合計質量は太陽の18倍以上、楕円軌道を考慮しても太陽質量の9倍以上あると見積もられた。また伴星の質量は最大で主星の約8割で、お互いを公転する周期は600年以下であることも判明した。ほかの方法によっても大質量星の質量は同程度に推定され、その結論は信頼性が高いという。

■大質量星が明らかにする誕生のメカニズム

 2つの原始星の質量が同程度であり、ほかに小質量星が同時に誕生していないことから、この連星系は先に誕生した主星と付随するガス円盤が分裂することで伴星が誕生した可能性が高いと研究グループは結論を下した。

 今後観測によって公転軌道の形状が判明すれば、この連星系の起源が決定づけられる可能性があるとしている。

 研究の詳細は、英天文学誌Nature Astronomyにて3月18日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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