第2第3の「五反田バレー」出現に期待!

2019年3月14日 12:46

印刷

 時間は若干遡るが昨年8月1日のNHK NEWS WEBが、「五反田バレー」を取り上げている。五反田バレーは米国カリフォルニア州の「シリコンバレー」をもじった造語。特異な技術やビジネスモデルで成長の可能性が高い「スタートアップ企業」の集積地を意味する。

【こちらも】「ネコノミクス」の経済効果は「大阪万博効果」を上回る

 JR山手線:五反田駅界隈は、かつてソニーが本社を構えていた工業地域。だが昨今は「歓楽街」のイメージが先行していた。そんな中、スタートアップ企業6社が「五反田バレー」を発足させた。会計ソフト大手に既にカウントされるまでになっている「フリー」やAIを活かした営業支援ツールの「マツリカ」、飲食店予約サービスを展開する「トレタ」など五反田にオフィスを構える企業によって立ち上げられた。

 五反田の魅力を6社は、こう発信している。

 *家賃が安い:六本木の坪単価は2万5000円水準、渋谷ともなると3万円近くになる。対して五反田は1万5000円水準。オフィス賃料も割安になり、スタートアップ企業にとっては相対的な「固定費減」という効果がある。

 *交通至便:JR山手線の内・外周りの他に都営浅草線・東急池上線が乗り入れている。

 *住居至便:都営浅草線や東急池上線沿線に住まいを構えることで、職住接近が可能。

 代表理事を務めるマツリカの黒佐英司社長は「家賃の安さだけを求めて地方に拠点を置くと、人材確保や営業活動で課題が多い。その意味でちょうどいいバランスが保てるのが五反田の魅力だ」

 また「五反田バレー」は品川区と共同でイベントを企画し、街のイメージアップとも取り組んでいる。さらには企業誘致策とし大企業や金融機関と連携し、資金調達の後押しをする活動も視野に動いてもいる。「それもこれも五反田バレーがコミュニケーションの拠点となり、スタートアップと言えば五反田というブランドを確立していきたいからだ」(黒佐氏)としている。

 思う。日本経済の今後を考えるとき、スタートアップ企業が成長しやすい環境が不可欠。第2第3の「五反田バレー」の出現が求められよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事