「ネコノミクス」の経済効果は「大阪万博効果」を上回る

2019年3月11日 12:11

印刷

 「アベノミクス」をもじり「ネコノミクス」なる言葉が、市民権を得つつある。2017年にペットの世界に異変?が起きた。初めて猫の数が犬を上回った。そして昨年も約965万匹と犬(約890万匹)との差を広げた。

【こちらも】鯖の水煮缶が1割値上がりした理由を考える

 詳細は書き出したらきりがないので省くが、猫関連市場は広い。関西大学の宮本勝浩名誉教授(理論経済学)は15年段階でのネコノミクスの経済効果を「年間2兆3,100億円」と試算している。その後の「猫の躍進?」を勘案すると、その経済効果はさらに拡大していると推察できる。ちなみに政府は25年の大阪万博の経済効果を、2兆円規模と推定している。ネコノミクス効果は、大阪万博効果を上回ることになる。

 猫効果を狙った動きは、不動産業界にも波及している。2月末に福岡県の不動産管理会社による九州初の『ねこ共生専用(賃貸)マンション:イフキャット藤崎』が完成した。同マンションをプロデュースしたのは、シンガーソングライター・作曲家・作詞家として知られる井上陽水氏を父に持つ作詞家・歌手の依布サラサさん。

 依布さんはプロデュースを引き受けた理由を「東京ではすでに猫と暮らせるマンションが多くある。猫用グッズ店や猫用ホテルが併設された物件、猫を共に飼うシェアハウスなども登場している。福岡でも猫の飼育数は増加傾向にあり、猫が飼えるマンションの需要は高い」とした上で、こうも言い及んでいる。「福岡は犬猫の殺処分が全国的に高い地域であることを踏まえて、そういうペットの数を1匹でも減らそうという活動をしている。今回プロデュースを引き受けたのも、そういう思いがあったからだ」。

 件の不動産管理会社では完成マンションを、こんな角度からも説明した。「出先に居てもスマートフォン操作で(寒がりな)猫のために空調操作ができる、IoT機能が標準装備されている。マンションオーナーに稼働率上昇の意味からも、ねこ共生専用マンションを積極的に進めていきたい」。

 まさに、たかが猫されど猫である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事