ゴーン被告は自らルノーのCEOと会長を退任するか? 解職されるのか?

2019年1月23日 20:52

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 カルロス・ゴーン被告の突然の逮捕以後、ルノーの出方が注目されていたが、今までの流れを見ていると、ルノーの意向はすなわちフランス政府の意向であると言って良い。ゴーン被告をルノーのCEO・会長職から解任することについて、フランス政府は前向きではなかった。今までフランス政府は「推定無罪」の原則を建前にして、有罪と宣告されるまでは犯罪者ではないとの見解を示していた。

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 ゴーン被告の罪状は日産の社内調査の結果としてまとめられ、ルノーへ18年12月に届けられている。ルノーとフランス政府の関係を考えると、フランス政府が未だにゴーン被告の罪状を把握していない方が不自然な状態であった。各国の司法制度の違いが理解されていないため、フランスの司法制度やゴーン被告の社会的な地位を勘案して、それほど長く拘留されることはないとの考えで、時間稼ぎをしていた面もある。ゴーン被告の人的な側面も懸念していた筈だ。後で解職要件が曖昧だったとして、ゴーン被告から責任を追及されるリスクを回避しようとしていた面もある。自発的な辞意を受けたという体裁を求めて説得を続けていた。

 そんな中にゴーン被告の保釈が2度に渡って却下された。全盛期は日産で絶対的な存在として君臨していたゴーン被告が保釈されると、密命でゴーン支持派が証拠隠滅を図るという懸念は秘かに認識されていたことだ。そこで当面ゴーン被告の保釈はなくなったと判断したフランス政府が、より強いタッチで自発的な決断を促したようだ。

 フランス各紙が15日に報じたのは、20日にもゴーン被告がルノーのCEOを解任されるという観測だった。18日になると、フランス政府の代表団が共同持ち株会社方式で、ルノーと日産を経営統合する意向を日本政府関係者に伝えたと伝わった。

 20日には、仏ルメール経済・財務相が「日産とルノーの経営統合は現在の議題ではない。議題はルノーの経営体制だ」として、ルノーの体制固め(ゴーン以後)を早急に進めたいとの意向を滲ませた。

 フランス政府は元々日産をルノーに取り込み、フランス経済の活性化を促進する起爆剤と期待していた。日産の会長に君臨していたゴーン被告とも相当の駆け引きを行って来た。

 黄色いベスト運動による抗議デモが続くマクロン大統領の支持率は、20%台を低迷する土壇場にある。ここで、日産を失えば大統領の地位すら砂上の楼閣となりかねない切羽詰まった状況が、マクロン大統領を駆り立てる。

 しかし、格下のルノーの失業対策部門になって、顎で使われるのは我慢ならないという雰囲気が日産に横溢するのも事実だ。

 今は押さざるを得ないフランス政府のベクトルの向きを、変えることができるのか?日産にとっての大一番はこれから幕が開くと言って良いだろう。

 ルノーは24日に取締役会を開催し、懸案のゴーン以後を決定する筈だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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