使用済みのコーヒーで土壌消毒技術を開発 農家悩ませる青枯病対策に 農研機構

2019年1月12日 11:12

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 使用済みのコーヒー(コーヒー粕)で、土壌を消毒する技術が農研機構によって開発された。

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 農研機構は2012年の実験によって、コーヒー粕と鉄塩で作った殺菌用資材に過酸化水素(H2O2)を作用させることでフェントン反応が起こり、ヒドロキシルラジカル(OH)を発生させる方法で殺菌できることを証明していた。

 今回の実験は、フェントン反応を引き起こすために、より効率的な粉末の過酸化カルシウム(CaO2)を利用した。

 過酸化カルシウムは、種子コーティングや根腐れ軽減資材、無機農業など、各種産業用に幅広く利用されおり、農家への負担が必要以上にかかるものではない。

 コーヒー粕も日本では年間60万トンも(主にゴミとして)排出されており、有効な利用方法が求められていた。つまり、実用レベルでコーヒー粕を土壌殺菌に使用できることを示したのである。

 特に今回の土壌殺菌方法は青枯病(あおがれびょう)の予防に有効であり、今まで有効とされていた対処方法であるクロルピクリンのような劇物指定の薬剤によるものとは違い、環境に優しく農家の負担の少ない土壌消毒方法が開発されたことになる。

 ちなみに青枯病というのはそれを引き起こす細菌が土壌を汚染することで作物を枯らす病気で、主にトマトやナス、ジャガイモといった日本人には馴染みの深い作物に深刻な影響を与える病原細菌である。

 実際の問題として、施設トマトの産地では、土壌中の青枯病菌によって引き起こされる青枯病の発生がトマト農家を困らせており、対策が急がれていた。

 また、未解明であったコーヒー粕を利用したヒドロキシルラジカル(OH)生成のメカニズムについては、コーヒー粕中のコーヒー酸およびクロロゲン酸が、鉄を還元し、キレート化する(結合により安定な化合物ができる反応)ことにより生じていることも突き止めている。

 農研機構では今回の技術について、「青枯病だけではなく他の土壌病害に対しても効果を示す」と期待しており、来年度から圃場での実証実験を開始するという。今後は、国内での普及に向けて、「ポリフェノール鉄錯体の低コスト製造技術の開発」を進めていくという。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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