中部電力、事業環境の激変に事業構造改革でさらなる成長へ挑む

2018年12月22日 08:43

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 中部電力は12月18日、成長戦略の実現に向けた新規事業に対する取り組みを強化するため、2019年4月1日付で事業創造本部を設置すると発表した。

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 従来はグループ内で別々に推進していた事業戦略、ICT機能を統合することにより、AI、IoTなどの先端技術を活用した新規事業を迅速に開発し、顧客や社会のニーズに沿ったサービスを早期に提供する体制を整え、成長戦略を実現する。

 中部電力は、電力の鬼と言われた松永安左エ門の尽力でGHQポツダム政令により、1951年、中部配電の配電部門と日本発送電の発電・送電部門を再編し、発電から配電までの一貫会社として設立された。

 営業地域は愛知県・長野県全域、岐阜県・三重県の大半、静岡県の富士川以西の広大な範囲を占め、火力10カ所、水力197カ所、原子力1カ所など多くの発電設備を抱える中部電力の動きを見ていこう。

■前期(2018年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は2兆8,533億円(前年比10%増)で、経常利益は70億円増の1,285億円(同6%増)であった。

 経常利益増加の要因としては、燃料調達の効率化や修繕費等の経費削減により250億円、関係会社の利益増70億円の増益要因に対し、電気料金コストに大きく影響する燃料費(為替レートや原油価格)ユーザー負担とする燃料費調整額の期ずれによる250億円の減益が発生したことによるものである。

 今期第2四半期売上高1兆4,874億円(同7%増)、経常利益942億円(同8%増)の実績を受けて、今期見通しは売上高が当初計画よりも500億円上方修正の3兆円(同5%増)、経常利益は燃料価格の上昇による期ずれ差損拡大を予想しで当初計画よりも350億円下方修正の1,000億円(同22%減)を見込んでいる。

■グループ経営ビジョンによる事業推進戦略

 2016年の電力小売り全面自由化、2017の年ガス小売り全面自由化、2020年の電気事業法による送配電部門の分社化などに対応するため、従来の発電から販売までを一貫して行う「垂直統合型の事業モデル」から「発販分離型の事業モデル」へ移行することを中心に下記の戦略を推進する。

 1.火力発電事業を東電との折半合弁会社JERAへ2019年4月に統合

 ・燃料上流、調達から発電、電力、ガスの卸販売に至る一連のバリューチェーンを完成。
 ・既に統合している燃料、海外発電事業、エネルギーインフラ事業とのシナジー効果を発揮。
 ・2025年に向けて規模の拡大(国内発電2,300->6,600万kw、海外開発出力800->1,500万kw)による競争力強化。

 2.送配電会社を2020年4月までに分社化、販売会社の分社化時期は検討中

 3.事業基盤強化に向けた経営効率化

 ・スマートメーターを活用した設備の合理化。
 ・LNGコンバインドサイクル発電設備の熱効率等向上。
 ・変電機器の定期点検作業を見直し、コスト削減。

 4.浜岡原子力発電所の安全性向上対策強化

 5.再生可能エネルギーの出力変動に対応し、IOTを活用した電力ネットワークの高度化推進

 6.ESG経営の推進

 ・再生可能エネルギーの導入拡大、火力発電の熱効率向上、原子力発電の活用により炭酸ガス排出量を削減。

 電力会社を取り巻く環境が大きく変化する中、事業構造改革により新たな価値を創出して一歩先を行く総合エネルギー企業として成長を目指す中部電力の動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード原子力発電所IoT(Internet of Things)中部電力火力発電

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