米中貿易戦争が中国のイノベーションを促すか

2018年9月2日 21:22

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 中国国際経済交流センター(CCIEE)の魏建国副理事長は、米中貿易戦争が中国のイノベーションを促すとの考えを示した。同センターの陳文玲・首席エコノミストも、米国の制裁によるZTEの生産停止を受け、中国でイノベーション意欲が高まっている状況を伝えた。

 CCIEEは8月28日にシンポジウムを開催。出席した専門家らの多くは、トランプ政権による中国への追加関税の発動は避けられないとの見方で一致した。また、米中貿易戦争は長期戦となり、中国として引き続き対応していく必要があるとの考えを示した。そんな中、元商務次官である魏副理事長は、中国の工業力は既に世界の半数以上もあり、米国は中国の強敵ではなく、米国の強硬姿勢は長続きしないとの強気な見方を示した。また、リーマンショック後にスマートフォンの国産ブランド等が生まれた事例を使い、貿易摩擦が中国におけるイノベーション推進の契機になり得ると述べた。

 トランプ政権の対中強硬姿勢は暫く続くだろうとの考えを持つ同センターの陳文玲・首席エコノミストも、貿易戦争がイノベーションを促すとの考えで一致。実際、米国から半導体の仕入れができず生産停止に追い込まれたZTEの事件を受け、中国でイノベーション意欲が高まっているとのこと。中国人の手で画期的な技術を生み出そうという機運の高まりに対し、前向きな姿勢を示した。

 同センターの張沫楠・研究員によれば、今回の貿易摩擦の中心は、ハイテク分野と知的財産権とのこと。米国が追加関税対象とした品目には、習近平国家主席が掲げる中国の長期戦略「中国製造2025」関連とハイテク関連に該当するものが多い。米中両国が競争力強化を目指しハイテク分野に注力する限り、米中間の貿易戦争ないしテクノロジー戦争は避けられないものとの考えを示した。中国の長期的な競争力強化には、法人税の減税を含む税制改革に加え、各国との協調を通した多国籍企業による資金引き揚げや利益移転の防止が重要と主張した。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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