まるで「ドラゴンボール」?中部大、高重力下で運動能力が向上すると実証

2018年7月24日 21:21

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 「ドラゴンボール」で、ナメック星に向かう途中の悟空が、重力室で修行をするシーンを覚えておられるだろうか。あれと同じように、高いGをかけた状態で運動負荷をかけると、運動能力が向上するという現象が実験的に確認された。中部大学の工学部ロボット理工学科平田豊教授らの研究によるものだ。

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 ちなみにドラゴンボールに出てくる重力室は10G(現実の地球重力の10倍)であるとか、20Gであるとかの環境で修行をするためのものだが、流石に研究に使われたのはそこまでのものではない。2Gである。

 実験には、遠心力を利用して作る過重力付加装置が利用された。通常の重力に加えて遠心力が加わり、2Gの重力加速度が体軸方向に付加されるというものである。

 実験では、この過重力環境下で、視界が左に17度ずれるプリズムゴーグルを装着、性格にタッチパネル上の赤い円を指さすという訓練を行った。

 プリズムの効果によって、最初は指差しの位置が指標の左側にずれる。だが、何度も繰り返すうち、正確な位置を差せるようになる。実験の結果として、1Gでは正確な位置を示すまで60回の施行が必要であったが、2Gでは20回であった。実験の被験者は4名であったが全員ほぼ同じ結果であったという。

 なお、ヒト以外にも金魚による実験も行われた。金魚の目の動きを視覚環境に適応させる実験を1Gと1.5Gで行ったところ、視線移動後の目の動きがより早く視覚環境に適応できたという。

 また、過重力だけでなく、より明るい視覚環境下においても速く学習を行わせることも確認できたという。

 なお、詳しい研究内容については、国際重力生理学会(ISGP)と欧州宇宙機関(ESA)がオランダで共催した 宇宙生命科学に関する国際会議で口頭発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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