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自閉スペクトラム症の治療薬「オキシトシン」経鼻スプレー、治療効果を実証研究
経鼻スプレー(画像はイメージです)。[写真拡大]
自閉スペクトラム症の治療薬として期待されるオキシトシンの有効性と安全性を検証する医師主導臨床研究が、日本医療研究開発機構、浜松医科大学精神医学講座山末英典教授(前東京大学准教授)、金沢大学(責任医師:棟居俊夫前特任教授)、名古屋大学(責任医師:岡田俊准教授)、福井大学(責任医師:小坂浩隆教授)らの共同研究チームによって行われた。
医師主導臨床試験というのは、実際の診療に携わる意志が医学的必要性・重要性を鑑みて行う臨床試験のことである。一つ留意点としては、新薬の安全性や有効性を確かめて厚生労働省の承認を得るために行われる「治験」とは別のものだ。
オキシトシンそのものは、脳から分泌されるホルモンである。女性において乳汁分泌促進、子宮平滑筋収縮作用などがあり、陣痛誘発・分娩促進などの目的で注射剤として既に臨床利用されている。
経鼻スプレーについても既にヨーロッパでは認可されていて、これは授乳促進の目的で使われている。
今回の研究の結果であるが、経鼻スプレーの使用によってオキシトシンの血中濃度が上がることは確認されたが、自閉スペクトラム症の主症状である対人コミュニケーション障害の軽減に着目すると、プラセボ(偽薬)投与群を上回る結果は得られなかったという。
ただし、視線計測による客観的な社会性改善効果(俗に、視線が合わない、と呼ばれる症状の軽減)、常同行動、限定的興味などに関しては投与効果が認められたとのことである。
従って、今後の研究としては、プラセボ効果を制御し、血中濃度上昇を十分に高める経鼻スプレーを開発すること、連続反復投与で生じる効果減弱を回避すること、評価項目の客観性を高めること、などが課題としてあげられるという。
なお、研究の詳細は、Molecular Psychiatryに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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