富士通と理研、ポスト「京」の開発状況発表 100倍の性能を持つCPUを試作

2018年6月22日 11:59

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「Hot Chips 28」でのポスト「京」命令セットの講演(写真:富士通の発表資料より)

「Hot Chips 28」でのポスト「京」命令セットの講演(写真:富士通の発表資料より)[写真拡大]

 富士通と理研は21日、スーパーコンピュータ「京」の後継機の中核となるCPUの試作チップが完成し、機能試験を開始したと発表した。

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 「京」の100倍のアプリケーション実行性能を、「京」の数倍の消費電力で達成することを目指す。

 最も高速なコンピュータのランク付け、その高速の指標は各種のベンチマークによって決まる。例えば、連立一次方程式の処理速度上位500位までをランキングするTOP500、大規模グラフ解析速度を競うGraph500、共役勾配法の処理速度を競うHPCG(High Performance Conjugate Gradient)などがある。扱うアルゴリズムによって、どのベンチマーク指標と実装結果が合うかが決まる。

 Top500において「京」は、2011年6月と11月に第1位になるも、2017年11月でのランキングでは10位と後退した一方、ビックデータ解析では有効とされるGraph500では、2017年11月に通算7期1位を獲得。加えて、HPCGでも通算3期1位を獲得している。

 ポスト「京」の中核となるCPUは、ARMアーキテクチャを採用。ARM社と協業してベクトル処理能力を向上するための拡張命令を開発。ビックデータ解析や人工知能のディープラーニングに有効なアーキテクチャだ。

 ポスト「京」の試作機は、24日から28日までドイツで開催される、世界的なハイパフォーマンスコンピューティングに関する国際会議・展示会「ISC2018」にて出展する。

●ポスト京のCPUの特長

 CPUの演算性能を左右するアーキテクチャには、バス幅512ビットのArmv8-A SVEを採用。計算ノードには48個のコアと2個のアシスタントコア、I/O兼計算ノードには48個のコア と4個のアシスタントコアを搭載。そのコアの相互接続で最大の性能を引き出すためにTofu(6次元のメッシュ/トーラス)構造を採用した。

 システム構成は1ノードに対し1CPUを割り当てる。そして1ラックには384ノードを搭載する拡張可能な構成だ。

 OS(オペレーティングシステム)はLinux、プログラム開発環境を含むシステムソフトウェアは、「京」と互換性がる。

●スーパーコンピュータ(富士通と理研、ポスト京)のテクノロジー

 最大で「京」の100倍のアプリケーション実行性能を目指すためのCPUだ。消費電力も「京」の12.7メガワットの数倍の30~40メガワットで高性能化を実現。

 スーパーコンピュータでのプログラミングは、通常のプログラミングにない並列性などを意識する必要がある。そのため、「京」のプログラム開発環境やプログラム群は再利用が可能な構成という。加えて、理研で開発しているシステムソフトウェアも利用可能になる。

 ポスト「京」の用途としては、健康長寿(創薬基盤、予防医療)、防災・減災(災害予測、気象予測)、エネルギー基盤、ものづくり分野などがある。社会的・科学的な課題の解決や産業競争力の強化に貢献するインフラであり、世界と伍していく富士通と理研の挑戦は続く。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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