東工大、過去最高の収縮率で「温めると縮む」物質を合成

2018年6月17日 18:52

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Pb0.76La0.04Bi0.20VO3の低温相、高温相の結晶構造。(画像:東京工業大学発表資料より)

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 過去最高の収縮率を示す負熱膨張材料が発見された。東京工業大学科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の東正樹教授、山本孟大学院生(現:東北大学助教)、今井孝大学院生、神奈川県立産業技術総合研究所の酒井雄樹常勤研究員らの研究グループによるものである。負熱膨張材料とは、通常の物質とは異なり、温めると縮む性質を持った物質のことだ。

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 そもそも、ほとんどの物質は温度が上昇すると熱膨張を起こし、長さ、体積などが増大する。光通信、半導体製造などの、タイトな精密さを求められる分野においては、このわずかな熱膨張が問題になることがある。そこで、温度が上がることで収縮する負熱膨張材料を用いて、構造の熱膨張をキャンセルするような設計がなされる。それが負熱膨張材料というものの基本的役割である。

 しかしながら、負熱膨張材料というものは種類が少ない。市販されているものとなると、体積収縮の割合が1.7%程度であり、もっと高い負熱膨張性を持つ物質の需要があった。

 今回の研究で用いられたのはペロブスカイト構造を持つ、バナジン酸鉛PbVO3という物質である。これに化学変化を生じさせ、Pb2+0.76La3+0.04Bi3+0.20V3.76+O3という分子結合状態にすると、200Kから400Kという室温を挟む温度帯において結晶構造変化が起こり、体積が8.5%収縮するという巨大な負熱膨張を生じさせる物質になることが確認された。

 また、詳細な調査の結果として、この性質は材料組織の空隙などによるものではなく、材料自身の持つ本質的な性質であるということも確認された。

 ただ問題としては、この物質は鉛を含む。鉛は有害物質であり、人体にも環境にも害をなす。そこで、今回と同じ化学的処理を用いた、鉛を含まない別の物質による、巨大負熱膨張材料の発見が今後に期待されるという。

 なお、研究の詳細はAngewandte Chemie International Edition誌に掲載されている。(藤沢文太)

関連キーワード東北大学産業技術総合研究所(産総研)東京工業大学

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