三菱電機、高い技術力と幅広い事業領域の強化で売上高5兆円に挑む

2018年6月7日 21:01

印刷

(c) 123rf

(c) 123rf[写真拡大]

 三菱電機は5月31日、働き方改革の更なる推進に向けて全従業員を対象に約2万台のタブレットパソコンを2019年3月までに配布すると発表した。

【こちらも】NTT、幅広い情報技術力でグローバル成長へ挑む

 資料のペーパレス化、共有化、オンライン会議による意思決定の迅速化、業務の効率化などにより、職場内のコミュニケーションを促進し、業務をスリム化して生き生きと働ける職場環境の実現を目指すものである。

 三菱電機は、1873年に岩崎弥太郎によって設立された三菱商会から独立した三菱造船(株)が1921年電機部門を分離独立させたのが始まりである。1923までには1万台の扇風機を生産し、その後水車発電機、電気冷蔵庫、エレベーター、エスカレーター、デーゼル電気機関車などを送り出してきた。

 家電から重電システム、人工衛星、電子デバイスなど多様な製品を生産販売する総合電機メーカー三菱電機の動きを見ていこう。

■前期(2018年3月期)実績

 売上高は4兆4,311億円(前年比105%)で、営業利益は前年よりも485億円増加の3,186億円(同118%)であった。

 営業利益増加の主な要因としては、海外比率43%で、前年と比較してやや円安傾向(1ドル109円->111円、1ユーロ119円->130円)、素材価格の上昇と販売費用の増加による家電事業136億円の減益をFAシステムの好調による産業メカトロニクス事業507億円、海外の昇降機が堅調だった重電システム事業73億円などの増益によりカバーしたものである。

■今期(2019年3月期)見通し

 今期から導入する国際会計基準(IFRS)により見通しを表示する。

 売上高は4兆5千億円(同101%)で、営業利益は3,150億円(同96%)を見込んでいる。

 総じて緩やかな景気拡大が見込まれる中、前年よりも円高(1ドル100円、1ユーロ125円)で計画している。

■連結売上高5兆円に向けての推進戦略

 創業100周年にあたる2021年3月期に、連結売上高5兆円(対前期比113%)以上、営業利益は4,000億円(同126%)以上を目指して、下記の戦略を推進する。

 1.投資効果の最大化
 ・欧米、中国に加え、インド、ASEANなど新興国での事業拡大
 ・電力、交通、ビルなどのアフターサービス事業強化
 ・自動車機器、パワーデバイスなど車両電動化対応機器の拡大

 2.成長を牽引する事業群に注力し強い事業をより強く
 ・重電システム事業では電力システム、交通システム、ビルシステムを、産業メカトロニクス事業では自動化工場システムを重点強化する
 ・情報システム事業では衛星システム製品群により社会インフラを構築する宇宙システムを、電子デバイス事業では最先端パワー半導体に基づくパワーデバイスを重点強化

 3.異なる技術と事業を併せて技術シナジーと事業シナジーの発揮
 ・衛星からのGPS、高精度3次元地図、車載機器を組み合わせた自動運転システム開発

 4.持続的成長のため知的財産活動の強化
 ・2017年度国際特許出願ランキング国内1位(世界4位)、特許登録件数ランキング国内1位、意匠登録件数ランキング国内1位で獲得した知的財産活動の優位性をグローバルに展開

 高い技術力と幅広い事業領域により世界市場に挑戦する三菱電機から目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事