砂漠のような北極海で生物は何をエネルギーに生きているのか?東大などの研究

2018年5月27日 10:23

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海洋中の窒素循環の簡略図。(画像:海洋研究開発機構発表資料より)

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 北極海は、生物の生存に不可欠な「窒素栄養塩」が非常に乏しいため、「海の砂漠」とあだ名される。そのような環境で、北極海にももちろん棲息している生物相は、何をエネルギー源として生物生産を行っているのだろうか?これを、海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球環境観測研究開発センターの塩崎拓平特任研究員らと東京大学大気海洋研究所の共同研究グループが明らかにした。

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 どこでも同じだが、海洋の生物生産は、窒素によって制限される。窒素分子を還元してアンモニアを生成する窒素固定と呼ばれるプロセスが海洋における窒素供給源の一つなのである。

 人間の営みに例えて分かりやすく説明するならば、「肥料」がないと農業がはかどらず、農業がはかどらないと人口が増やせない、というのと同じ原理だ。人間もかつて様々な窒素固定方法(肥料生産)を開発してきた。その中でも最大級のものは大気中の窒素を触媒を用いて化学合成するハーバー・ボッシュ法の発明であるが、詳しくは他に解説を譲ろう。

 さて、自然界での窒素固定は、いくつかの真正細菌(細菌、放線菌、藍藻、ある種の嫌気性細菌など)と一部の古細菌(メタン菌など)が行う。この種の生き物は、熱帯・亜熱帯には棲息するが、北極海では活動できないと考えられてきた。しかし北極海でも窒素固定が行われている事実は2012年に突き止められた。いったい、何がこのサイクルを支えているのか?

 今回の研究は、2015年の秋にJAMSTECの海洋地球研究船「みらい」によって行われた探査を背景としている。結果として分かったことは、シアノバクテリアが中心となる熱帯の窒素固定とは異なり、嫌気性細菌が北極海のエネルギーサイクルを支えているという事実であった。

 なお、研究の詳細は、国際陸水海洋学会連合発行の学術誌「Limnology and Oceanography」に掲載されている。(藤沢文太)

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