浄化の物語がここからはじまる!「西郷どん」19話レビュー!

2018年5月22日 06:56

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■二階堂ふみ、圧巻の演技

 NHK大河ドラマ「西郷どん」の第19話が5月20日に放送された。大島で暮らす人との交流を始めることになる吉之助だが、その中でも吉之助の妻となるとぅまとのやり取りは濃く描かれている。

【前回は】自暴自棄を経てついに主役となるか!「西郷どん」18話に登場の二階堂ふみが話題に

■少しずつ元の優しさを取り戻す吉之助

 大島に幽閉されてから1年が経った。西郷吉之助(鈴木亮平)は当初、志を同じくした仲間や尊敬していた斉彬の死を連続で体験することで、ひどい自暴自棄の状態となっていた。しかし、島で出会った命の恩人とも言えるとぅま(二階堂ふみ)や、世話人の龍佐民(柄本明)の助力もあって徐々に心の傷は癒えていく。

 その中でとぅまは、「夫は海の向こうからやってくる」という予言と吉之助のことが重なり、徐々に意識し始める。吉之助も元来の面倒見の良さも戻り、島の子供たちに教育を施す姿等を見せるようになることでより魅力的に見えてくるのだった。

 しかし、以前から厳しかった薩摩藩の年貢は苦しくなる一方だった。年貢はおろか農機具も老朽化は激しく、大島の人たちの生活は一向によくなる様子を見せなかった。そこで、吉之助は薩摩藩にいる正助(瑛太)に手紙で助力を願うが、身体を気遣うばかりで支援を望むのは難しい状態だった。

 なんとか島民に楽になって欲しいと考える吉之助だが、薩摩藩は年貢である砂糖を隠した罪として龍佐民を拘束することを決めた。このことにとぅまをはじめ若い島民たちが怒り出すも、吉之助はなんとか暴動を押さえようとする。しかし、その制止を振り切ってとぅまは代官所へ乗り込んでしまう。

■とぅまの真っ直ぐな気持ちが吉之助の心を包み込む

 とぅまは代官所に乗り込むも、簡単に田中代官に捕らえられてしまう。そして田中はとぅまに対して「アンゴにならないか」といやらしく迫る。その態度をはねのけるばかりか「アンゴになるぐらいなら」とかんざしで首を突こうとする。

 その寸前で吉之助が止めに入る。田中代官は自分の行動を妨害する吉之助も罰しようとするが、彼が本当は元薩摩藩主の斉彬が大事にしていた部下の「吉之助」とわかった瞬間、田中は彼に対して何もできなくなってしまう。この行動により、とぅまは吉之助のことを心から信頼するようになり、自分を妻にしてほしいと頼み込むのだった。

 吉之助がとぅまとの間を深めるのが中心となった19話。とぅま演じる二階堂ふみの魅力が全開となったエピソードで、妻となる覚悟と心から吉之助を愛している表情は、今まで「西郷どん」に登場したどのヒロインよりも輝いていたと思う。

 「西郷どん」はNHKにて毎週日曜日20時から放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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