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ビール工場の排水から燃料電池を作る研究、九州大学
試験用バイオ燃料電池発電試験装置概要。(画像:九州大学発表資料より)[写真拡大]
ビール工場では、その製造工程において大量のバイオメタンガスが生成される。九州大学次世代燃料電池産学連携研究センターとアサヒグループホールディングスR&Dセンターの共同研究グループは、このガスを利用し、固体酸化物燃料電池(SOFC)を作り出し、それを利用して長時間の連続発電を行うことに成功した。
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SOFCという発電手段は既に知られているものである。そのエネルギー変換効率は高い。ただ、それ自体にエネルギーを与えるために化石燃料由来の水素や都市ガスが必要となるものがほとんどであるため、CO2排出削減という観点からは大きな成果をこれまでにはあげてきていなかった。
さて、バイオメタンガスであるが、カーボンニュートラルで地球温暖化に影響しない環境に良いガスであることは知られていたのだが、問題は不純物が多いということであった。SOFCにしたときに性能を大きく低下させてしまう不純物が、工場から集めてきただけのガスには多量に含まれているのだ。
安定的な発電のためにはその不純物を取り除く必要がある。そこで、今回研究グループは、三菱日立パワーシステムズ社製のSOFC3素子セルを、共同開発したバイオ燃料電池発電装置に組み込み、アサヒが独自に開発した不純物除去装置を使用して製造した精製バイオメタンガスを供給して発電を試みた。
すると発表までの2,000時間超の時間、順調に発電は続けられ、不純物の影響も確認されなかったという。このSOFC発電システムは、実用レベルにまで適応可能であろうと研究グループは報告している。
なお、この発電システムが実用化されれば、ビール工場に限らず、食品工場など、嫌気性排水処理設備を導入している多くの工場・施設で同様のバイオガス再利用が可能になると見られるとのことである。
この研究の詳細は、第25回燃料電池シンポジウムで発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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