東大ら、分子の世界のベアリング ほぼ摩擦のない慣性回転を確認

2018年5月18日 18:31

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分子ベアリングの結晶構造(図:東大の発表資料より)

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 東京大学の磯部寛之教授の共同研究グループは15日、ナノサイズの分子のベアリングにおいては、ほとんど摩擦のない回転運動(慣性回転)が実現できることを発見したと発表した。なお、研究には首都大学東京の真庭グループも参画している。

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 ほぼ摩擦のないベアリング。慣性により長時間の回転が期待されるが、この発表は分子の世界での発見だ。それでも、この研究を基にナノサイズでの多くの派生的な研究が生まれる可能性を秘める。

 分子ベアリングの結晶構造は、図に示すように、球状炭素分子を回転子、筒状の水素分子を外枠とする。このナノサイズの分子の世界では、ほとんど摩擦のない回転ベアリングが実現できるという。そして、この回転ベアリングは固体のなかで超高速回転が可能だ。

 分子ベアリングは、筒分子が回転子を非常に強固に捕まえていることが特徴だという。強固に捕まえているにも関わらず、固体のなかで超高速回転が可能なことが明らかになった。一見、相反するようなことがナノサイズの世界で実現。分子機械の世界では、思いもよらない発見がいまだ隠されていることを示す成果であり、今後、ナノ科学・ナノ材料分野でのさらなる展開が期待できるという。

●ブラウン運動に反する発見?

 今回の発表は、広く知られているブラウン運動と矛盾するようにも見える。

 分子と分子が接触すると、相互作用が生じ、接触した分子は動きにくくなる。この分子の運動が、ブラウン運動であり、分子同士の接触や衝突により、分子の動きに変化が生じる現象だ。

 大きく重い物体では「慣性」に支配された慣性運動が主に観測されるが、小さく軽い分子の世界では、分子同士の相互作用が無視できなくなり、一般に慣性運動が観測されにくくなると考えられていた。

●ベアリング(東大ら、分子ベアリング)のテクノロジー

 大きな物体では、分子間の相互作用を主因に摩擦が生じ、慣性回転は適わない。他方、小さなナノサイズの世界では、分子間の相互作用が大きくとも、ほとんど摩擦が生じずに、滑らかな慣性回転が実現できるという。分子ベアリングで、213ギガヘルツの超高速回転を記録した。今後、ナノ科学・ナノ材料分野でのさらなる展開に繋がる発見だ。

 筒状分子は、キラリティと呼ばれる右巻きのらせん構造をもつ。ボルトの中にらせん状の溝と同じ対称性であり、運動方向の制御などが期待できる。

 加えて、筒状分子は単層カーボンナノチューブの「剛直で筒状」という構造を模した分子である。カーボンナノチューブの中でも同じような奇妙な物理現象が起こりうることを、今回の発見は示唆する。

 研究の詳細は、国際学術雑誌「Nature Communications」に15日に掲載された。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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