環境汚染が男性不妊に及ぼす影響とは イタリアでの研究

2018年5月17日 07:06

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●男性科学の分野からみた環境汚染

 男性ホルモンに関する研究を総括して「アンドドロジー」と呼ぶ。イタリアのアンドドロジー学会は、環境汚染が男性のホルモンに及ぼす悪影響について最新の研究結果を報告した。イタリア国内ではとくに大気汚染の値が高いナポリからカゼルタ周辺に住む男性の精子についての調査報告が、先日ローマの学会でされたのである。

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●過去の50年間に急激に増えた「男性不妊」

 環境汚染が、男性の不妊にも影響を及ぼすことは過去のいくつかの研究でも報告されていた。環境汚染は、精子の活力や動きを抑制するという悪影響を与えている。この30年間で、精液中の精子の数は50%も減少したといわれている。

 今回の研究の責任者は、泌尿器学と男性医学を専門とするルイジ・モンターノ氏である。モンターノ氏は、「環境汚染がDNAの構造も変容させることが判明し、不妊だけではなくあらゆる病理学の分野で環境汚染についての研究が進んでいる。とくに、環境汚染の影響を我々よりも被るであろう新しい世代のためにも、研究は必須だ」と語る。

●環境汚染のマーカーとなるDNAの断片化

 モンターノ氏率いる研究チームは、ベンゼン、PM2.5、PM10をさまざまな地域で測定し、各地の男性300人以上を検査、精子のDNA断片化率を比較した。

 その結果、大気汚染が悪化している地域の男性のDNA断片化率は、そのほかの地域よりも30%も高かった。また、スチールプラントの工場で作業している男性も、同様の断片化率が見られたという。

 モンターノ氏は数年前から、精子のDNAの状態が男性の健康状態や生殖能力の指標となり、周囲の環境と密接な関連があることを主張してきた。そして、環境の悪化から生じる不妊およびさまざまな病気の予防のために、欧州各国の大学とともに「EcoFoodFertility」というプロジェクトも立ち上げている。

●国際的な課題である男性の不妊

 モンターノ氏の今回の研究は、環境と病理学の専門誌『Toxicology and Pharmacology』に掲載された。

 すでに、中国の最近の研究で環境が精子の形態を変えることが報告されたほか、カナダの研究者たちも環境がDNAの構造を変化させる作用を持つことを確認している。モンターノ氏はしかし、現状は学者たちの想像以上に深刻だと語る。

●予防措置のために必要なライフスタイルの改革

 環境が悪化している地域に住まざるを得ない人たちは、食生活の根本的な見直しなどライフスタイルを変える必要がある。モンターノ氏は、将来を担う若者の健康のためにも、環境汚染から健康を守る予防措置が必要であるとしている。その対策は、長期的にならざるを得ないため、国レベルの主導が必須である。

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