【スバル悲しき体質】改ざんの影響は?「素人相手の商売」であってはならない!

2018年4月27日 05:55

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 スバルが、「新車検査無資格者実施」「燃費データ改ざん」「排気ガスデータ改ざん」と企業ぐるみの体質が問われている。また、「排気ガスデータ改ざん」となると、刑事事件となることが日本社会の常識であろう。

【こちらも】【スバルの病根を考える】現場からのボトムアップ・システムの必要性

 先般の神戸製鋼の品質データ改ざんについて、ついに「虚偽表示」の疑いで捜査が始まった。自動車業界に限らず基礎となる素材の品質保障にかかわるので、ことは深刻に受け止める必要がある。素材の品質は、実際に使用される場面で必要とされる品質基準には余裕を持たせている。そのため多少の公差をはみ出した製品でも、即座に危険が及ぶことはまずない。しかし、「虚偽表示」に変わりはなく、危険を避けるためには表示を正しく守ることが要求されるのだ。

 一方、スバルの品質保証意識の低さは、販売・メンテナンスの現場でも感じられている。残念なことだが、現在の自動車ディーラー全般にも言えることで、「素人相手の商売」の体質が強く出てきており、整備も信頼できない場面がある。販売の現場では、クルマの「制御プログラムが大幅に増え」、そのバグ対策が思うようにならない現状である。「ごまかしながら売る」と言えば厳しいが、ユーザーに対して説明が付かない状態で売っていく必要性は、ディーラーにとって重荷であろう。クルマは、今や高度な最先端技術の製品であり、何かあれば「周囲にも及ぶ危険」を生じるものだ。普及していて現在では手軽な商品と思われても、免許制度でもあるのだから、「素人相手の商売」をするべき製品ではない。

 スバルは、「改ざんは数百台」としているが、検査測定は「サンプル検査と全数検査」に大きく分かれる。完成車両での排気ガス検査は全数ではなく、サンプル検査であったようだ。一部で「抜きうち検査」とあったが、「抜き取り検査(サンプル検査)」の間違いであろう。サンプル検査とは、製造ロットごとに数個の検査をして、そのロット全体の合否を判断するものだ。スバルの排気ガス検査ではロット数がどのくらいの数か判明していないが、数百台の検査数でも、ロット数が仮に10台であると数千台、100台であれば数万台、1000台であると数十万台の不良が見逃されることになる。

 サンプル数だけではなくロット数を明確にして、現実に「改ざんして出荷された台数」、並びに「不良率」を公表すべきである。また、「ロット数を決めた根拠」も公表すべきであろう。「どの工程の、どの検査なのか?」など詳細が不明なので、スバル工場全体の品質レベルを問うのは時期が早いが、実態を公表すべきである。

 これらの「品質不正の病根はどこにあるのか?」それが問題だ。東芝の経理不正の場合は、方法論がなくなって無理やり部下に成績を上げる経理操作を命じている状態で、無謀・犯罪的と言わざるを得ない。神戸製鋼、スバルなどは業績もよく、顧客からの信頼も厚かった。

 一方で、スバルはHEV・EVなど燃費向上策で遅れが出ている。北米での業績は良いのだが、未だに本格的HEV車も発売できていない。経営陣の企業としての方向性の示し方が、明確ではないのではと感じる。運転支援システムはAI自動運転装置開発に向けて最先端技術で、スバルは「アイサイト」と称して先行していた。こうしたバランスの悪さは経営戦略そのものの問題であると認識できる。

 特に「品質保証体制」は「業績向上の基礎」として、「経営陣が重要視していない」と「残業規制」と同じように崩れていくものだ。日産自動車のカルロス・ゴーン氏の経営で、「品質保証が最重要」との認識は感じられない。M&Aの方向で進んできた経営では、品質保証を最重要課題と社員が認識出来る環境ではない。

 ゴルフ場経営で自社のビジネスモデルも意識できないで、クラブハウスは雨漏りし、街灯は錆びだらけ、駐車場は荒れ放題、芝はターフが取れないほど目土不足、池には穴が開き水をためられない、などゴルフ場整備の質を極端に落とし、マネーゲームに奔走してきた経営を見てきたが、車の経営では危険が現実となるので、ゴルフ場運営のようには笑えない。

 「経営の質」について金融・株価などの観点だけでなく「ビジネスモデル」を意識して、原点に返る必要があるのだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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