パナソニック、次世代産業用モータをアスターと共同開発 20%小型化

2018年4月18日 16:51

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次世代開発モータのイメージ(写真1:パナソニックの発表資料より)

次世代開発モータのイメージ(写真1:パナソニックの発表資料より)[写真拡大]

  • 成形コイルとは(写真2:パナソニックの発表資料より)

 パナソニックは16日、アスターと次世代産業用モータの共同開発を開始すると発表した。各種産業機器の省スペース化、軽量化、生産性向上に貢献するため、小型化と高効率化を実現する産業用モータの実用化を目指す。

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 製造現場での自動化や省人化のニーズを背景に、産業用モータの需要は拡大傾向にある一方、省スペースや省エネのためにロボットや設備の小型化ニーズは高い。工作機械や産業用ロボットは、数ミリの位置制御や数ミリ秒の速度制御が求められる。このような高精度な制御を担う制御装置の動作を担うのが産業用モータであり、これを小型化する。

 アスターは、従来の丸線を利用したコイルに比べ、大幅に巻線密度を向上できる独自の高密度成形コイル技術を開発。一方、パナソニックは、産業用モータとして業界最小のサーボモータを量産。両社の技術を融合し、現行のサーボモータに比べて、20%以上の小型化、10%の高効率化の達成を目指す。

●成形コイルの特長

 コイルスロット面積に占める導体の割合を占積率と呼ぶ。従来の丸線コイルの占積率は55%前後だ。低い占有率は丸線間の空間やコイル間の空間にある。丸線を、板状の導体を積層した成形コイルに置き換え、占有率を向上させる。

 占有率90%以上の実現には、板状の導体積層に加えて、成形コイルの巻始めと巻終りでの厚み調整が必要だ。巻始めと巻終りで厚みを可変できることで、断面積同一など、スロット形状に合わせた高占有率を実現。

 占有率が90%に向上することで、30%の抵抗値低減、20%の高放熱化が図れるという。

●サーボモータ(パナソニックとアスター、成形コイル)のテクノロジー

 パナソニックのサーボモータは、モータ出力に対して世界最小であることが強みだ。このパナソニックのモータ要素技術に、アスターの成形コイル技術が加わる。

 コイルの占有率は90%、抵抗は30%減、放熱性も20%向上。従来品と比べて、体積20%減の小型化と損失10%減の高効率化を目指す。

 サーボモータの小型・軽量化は、産業用ロボットの軽量化にも寄与する。モータの小型・軽量化を訴求点として、競争力を高める。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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