スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(2)

2018年3月1日 21:34

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 スルガ銀行は業務純益率が地銀で断トツの1位であり、一目置かれる存在になっていたが、そのビジネスモデルは他の地銀とは大きな相違を見せる独特のモノだった。一説ではスルガ銀行の融資の90%程が個人融資で、法人向け融資はわずか10%程度だという。確かに競合の厳しい法人融資は金利競争も激しく、多くの地方銀行を疲弊させている。個人が相手の場合には銀行取引になれている訳もなく、金融取引に関する知識もおぼつかない人が多いので、攻略しやすいのかも知れない。

【前回は】スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(1)

 世間の人が銀行に抱くイメージで一番お門違いなのが、「銀行員は金融のプロである」ではないだろうか。中には稀に「金融のプロ」と言える人もいるだろうが、ほとんどの人はただの小心なサラリーマンだ。規制が多く、デリケートな部分も扱っているため、勉強しなければならないことは限りなく、生き残るために努力している人は多いが、「金融のプロ」になろうとして研鑽する人は少ない。

 法人に対する融資と個人のローンは、貸出という行為に違いはないが、結論に辿り着く道筋には大きな違いがある。法人の場合は、事業の内容や将来性、今後の予想など考慮しなくてはならない事項が多く、案件に揉まれることで銀行員としての成長も期待できる。個人ローンの場合は概ねチェックリストに基づく手続きが主体で、消費者金融も銀行ローンも大きな違いはない。何件経験してもチェックが早くなる程度で、審査能力が向上することはないし、銀行員としてステップアップはしない。

 銀行は今でもタテ社会の規律が残っている数少ない職場で、支店長の指示に背くことは将来を失うに等しい。だから顧客の身になって、一緒に考えることのできる人は珍種のようなものだ。スルガ銀行では支店長の権限を大きく設定していたという。本部の方針が支店長を通してストレートに業務に反映されているうちはいい。功名心の旺盛な野心家が支店長だと、支店は収容所列島のようになる。スルガ銀行の給料は地銀のトップという高額で有名だ。勘違いした支店長をガムシャラにさせるインセンティブは、すでに組み込まれていた。

 個人ローンと言えばきれいだが、住宅ローンもマイカーローンも同じ人が毎月利用するような商品ではない。住宅ローンなら一生に一度という人も珍しくないだろう。「ローンを売り込め」という指示は、需要を作り出してお客を取り込めと言うことに等しい。建築業者は建てた建物を売ってなんぼの商売だ。ローンの心配がなければ、売却代金の回収に悩む必要もない。建築業者と銀行の利害は、「賃貸住宅のオーナーになりませんか」という殺し文句で一致する。返済しなくてもいいローンなどあるわけがないのに、「家賃保証があると安心ですね!」と顧客を煽る。顧客は「金融のプロ」の言うことだからと思考停止状態に陥る。実は手ぶらでは帰れない銀行員の、苦し紛れの一言だったのかも知れない。

 スルガ銀行が実態調査をすると報じられているが、総額で1000億円にもなると見られている融資に、自らダメ出しをすることは考えにくい。スルガ銀行が自行の融資の妥当性を調べている最中で、少なくとも調査中は事実上返済を猶予すると伝えられている。スルガ銀行がどんな対応を見せるのか、今後の推移には十分注意が必要だろう。(矢牧滋夫)

【続き】スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」でどこへ行く!(3)

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