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【テスラ危険水域も】天才イーロン・マスクか?先行きはモデル3の生産次第
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テスラモータースの「モデル3」の生産が軌道に乗らない。17年10~12月期の3カ月間の出荷台数はわずか1,550台と月間500台に過ぎない。月間生産台数5,000台を目標にしていたが、目標達成期日を3度延期した。2018年6月末としたが、達成は難しいとみられている。
【こちらも】【イーロン・マスク「テスラCEO」(上)】EV化の流れの中で 人となりとテスラの行く末
モデル3価格は、テスラのこれまでの車種の半値程度3万5,000ドル程度と、テスラの戦略的車種だ。この量産に成功できないと行き詰る恐れが濃厚だ。2020年ごろまでに100万台生産規模の自動車メーカーとすることを目指してきたが、この規模はマツダに相当する。
材料仕入れから販売終了までの期間の「棚卸資産回転期間」は、現在テスラは100日程度のようだ。マツダは57日、在庫を極力減らすことで有名な「トヨタ生産方式」のトヨタは、過去5年間平均で約35日とさすがに短期間で資金を回転させている。これは単純に運転資金で同じ規模に換算して、テスラはマツダの2倍、トヨタの3倍必要で、新規設備投資を考えれば、トヨタに比較するととんでもない資金繰りが要求されていることになる。
しかし救いなのは、テスラの株式は依然として高い人気で、フォードを上回る時価総額565億ドルだ。創業間もないベンチャー企業にありがちの赤字だが、テスラは明らかに「生産」にてこずっている。ラインアウト後、修正を要する車は9割に達しているといい、自動車会社としてはすでに危機的状況にある。
この危機の性質は、ソフト開発などとは違って、生産・製造技術の不備で起きており、その原因は、テスラの「人の使い方」にあると感じる。品質問題が生産性を落とす原因であり、その原因が「人の使い方」であるとすると、人を替えなければ解決しない。つまりはイーロン・マスクを替えることが必要なのだ。
テスラがこれまで高い商品力を保てたのは、競合相手がいなかったからだが、日本企業も本腰を入れ始め、EV大衆車の発売も近い。全固体電池などの開発も進み、テスラが商品力を保てるのか雲行きが怪しい。これでは資金調達にも陰りが見えてきて、テスラ存続の危機が高まりつつある。天才イーロン・マスクCEOはいかにしてこの危機を脱するであろうか?
製造業はソフト開発とは違って、「作業者一人一人の心構え」まで求められる。それは絶対に安全性が求められるからで、それを保証するのが品質保証体制だ。これを軽く見ていた気配がテスラにはある。自動車産業の奥深さを見せつけられる場面でもある。「EVは異業種からの参入が簡単」などと言われてきたが、「走る危険物」の側面を持つ自動車の生産は、そうたやすいものではなかったようだ。すると中国財閥などの資金とトヨタ並みの生産ハンドリング能力のあるCEOが必要になっている。つまり人を人として扱える能力だ。
ここにきて「イーロン・マスク」が天才ぶりを見せつけて危機を脱するのかが見ものだ。時間があるかはキャッシュフロー次第となってきている。テスラがこの体制のまま危機を乗り越えられたのなら、私の生涯をかけて知りえた認識は、捨て去らねばならない。さてイーロンが天才で、私が愚かなのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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