JAMSTEC、海底下2000mでメチル化合物を代謝する微生物群を発見

2017年10月11日 06:51

小

中

大

印刷

写真上:「ちきゅう」船上にてガラス瓶に嫌気(無酸素)条件下で封入された泥岩層や石炭層のサンプル。写真左下:走査型電子顕微鏡写真。写真右下:細胞に含まれるDNAを緑色の蛍光色素で染色した微生物の蛍光顕微鏡写真。(画像:海洋研究開発機構発表資料より)

写真上:「ちきゅう」船上にてガラス瓶に嫌気(無酸素)条件下で封入された泥岩層や石炭層のサンプル。写真左下:走査型電子顕微鏡写真。写真右下:細胞に含まれるDNAを緑色の蛍光色素で染色した微生物の蛍光顕微鏡写真。(画像:海洋研究開発機構発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた探査により、青森県八戸市沖合80キロメートル地点の海底の地下約1.6キロメートルの泥岩層と約2.0キロメートルの石炭層から、メチル化合物を代謝し、メタンや二酸化炭素を排出する、細胞の倍化時間(2倍の個体数に増えるのにかかる期間)が少なくとも数十年から数百年以上である微生物群を発見した。

【こちらも】海底2500mの地層から見つかった太古の菌からキノコを培養

 地球の表層の約7割は海である。その海の下にも、10の29乗ほどの数の微生物が生息する、広大な海底生命圏が存在する。これまでの研究から、海底下に暮らす微生物は地球表層に暮らす生命(微生物も含む)と比べ、系統的に大きく異なり、特異な進化を遂げていることが明らかになっている。いわば、「第三の生命圏」と呼ぶべきものが存在するのだ。

 過去の研究から、これらの生命圏は、有機物の分解、天然ガス(メタン)の生成などの、地球スケールでの元素循環において大きな役割を果たしていることが示唆されていた。だが、具体的にそれらの微生物がどのような代謝を持つか、どの程度の速度で生育するのか(あるいは、生育するものであるのかどうか)については分かっていなかった。

 今回の研究では、2012年に「ちきゅう」が採取した海底下サンプルを用い、詳細な分析を行った。

 結果として、採取したすべての地質的サンプルにおいて、微生物が生息していたことが明らかになった。またこれらの微生物を30カ月間放置して代謝活性を分析したところ、彼らの細胞の倍化には、数十年から数百年という極めて長いタイムスケールが必要であることが分かった。

 また、ゲノムDNAを抽出して系統を調べたところ、彼らは、約2,000万年前の陸地の森林土壌や浅海の堆積物環境に由来する、固有の地下微生物であることが明らかになった。

 だが、このような生命体が海底下深部でどのように生命機能を維持しているのか、生息限界はどこにあるのか、そして彼らの生命圏にも「進化」は起きているのか、などの問題は依然として未知のままである。今後、これらの問題についてさらなる研究を進めていきたいという。

 なお、研究の成果は、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)電子版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワードゲノムDNA地球深部探査船「ちきゅう」海洋研究開発機構

関連記事

広告

財経アクセスランキング