宇宙の氷を模した混合氷が極低温化で液体のように振る舞う 北大などの研究

2017年10月11日 06:22

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紫外線を照射した水-メタノール-アンモニア混合非晶質氷に発生する水素の泡(液体状態からの発泡)。(画像:北海道大学発表資料より)

紫外線を照射した水-メタノール-アンモニア混合非晶質氷に発生する水素の泡(液体状態からの発泡)。(画像:北海道大学発表資料より)[写真拡大]

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 分子雲と呼ばれる宇宙の星々の間を漂うガスの雲の中に存在する氷を模した、水・メタノール・アンモニアの混合氷が、氷点下210度~120度の環境下で、想定されていたような個体状態をとらず液体のように振る舞うということを、北海道大学などの研究グループが発見した。

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 恒星や惑星は、星々の間を漂うガスの濃い領域、すなわち分子雲から誕生する。氷点下約263度の低温の中で多様な分子が作り出され、また氷としても存在する。この宇宙の氷を星間氷という。

 星間氷は、紫外線の照射などの影響を受け、有機物を生み出す。それが彗星や、地球外物質の中で発見される高分子有機物の起源と考えられている。しかし、星間氷そのものの性質については、これまであまり分かっていなかった。

 今回の研究では、分子雲と同じ程度(氷点下260度前後)に冷やした基盤の上に水・メタノール・アンモニアの混合ガスを吹き付け、同時に紫外線を照射することで、星間氷を模したものを作成した。

 氷ができた後に冷凍機を停止して温度を上げ、氷の状態を顕微鏡観察し、また昇華してくるガスを分析機器にかけた。

 すると、温度を上げたとき、氷点下210度~120度において、氷が、沸騰する水のように発泡する性質を示した。その発砲しているガスは、水素分子であった。発泡する、ということは、その氷が液体としての性質を持っている、ということを意味する。泡の成長速度から見積もられるその粘性は、固い蜂蜜と同程度であった。

 仮に液体状氷の発生の理由が紫外線の照射量にあったと仮定した場合、宇宙の分子雲の中では、10万年から100万年ほどの紫外線照射で、液体状の氷が発生することになる。分子雲の寿命からいって、あり得ない時間の長さではない。

 まだ推測段階ではあるが、あるいは、これらの「液体状の氷」の存在は、宇宙での有機物の効果的な生成を手助けしているかもしれないという。

 なお、研究の詳細は、Science Advancesに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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