ニッサン・シルビア復活か? 美しい初代、そしてデートカートと呼ばれたシルビア

2017年9月29日 21:25

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シルビアの生産終了に伴い発売された最後の特別限定車「Vパッケージ」。(写真: 日産自動車の発表資料より)

シルビアの生産終了に伴い発売された最後の特別限定車「Vパッケージ」。(写真: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]

 10月の東京モーターショーにシルビアのコンセプトカーが出展されるかもしれないという。Carviewが報じている。出展されれば、生産終了から15年ぶりとなるが、これだけの間があると、シルビア復活と言うよりは「シルビアの名を冠したスペシャルティーカーの新モデル登場」と言うべきかもしれない。

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 問題は「スペシャルティーカー」との呼び方だ。初代シルビアはフェアレディのボディに2ドアクーペボディを乗せたもので、その当時の日本車のデザインを超える美しさが印象的であった。2台目の登場はトヨタ・セリカの登場がきっかけとなって、「スペシャルティーカー」の必要性にニッサンが対応したものだった。

 そのトヨタ・セリカもアメリカフォード車のムスタングの「まね」をしたものであり、トヨタの看板方式が成立し始めたことの証拠でもあった。ムスタングは基本車体にオプション部品を自由に取り付けて、自分のスペシャルティーカーを創り上げることが出来ることを特徴としていた。

 それまでのメーカー側が用意したスタンダード、デラックス、スーパーデラックスなどの装備品が決められたものではなく、自分が装備したいと思うオプションを自由に選べるものだった。それは生産段階からオプションを客が指定することになり、現在の多種少量生産の始まりを意味していた。

 現在では「順序生産」と呼ばれる、受注生産に近い生産体制を実現し、コストダウン効果で「世界のトヨタ」になったと言っても良いものだ。本家フォードを抜いて「トヨタ・看板方式」と言われる産業革命をもたらした概念だ。

 初代シルビアはそんな生産方式とは関係なく「特別な車(スペシャルティーカー)」の名のとおり、2座席オープンボディのフェアレディのクローズドボディの形態で「スペシャルティ―」と言える存在であった。アメリカ車よりはヨーロッパ車の匂いを漂わせるそのスタイルは、市場ではあまり受け入れられず、クローズドボディはフェアレディーZとしてアメリカンナイズされたスタイリングで大ヒットしていった。

 シルビアの2代目は、トヨタ・セリカとの競合の中で「デートカー」と言われる限られた使い勝手ながら広くヒットした。それは、その時代の若者が望むパッケージングであったと言うことだ。

 今回みたび「スペシャルティーカー」と呼ぶのであれば、ミニバンブームですたれてしまった、スポーツカーとスポーティーサルーンの復権が、本物となってきたと見てよいのであろう。「シルビア」とは不思議な運命の車である。

 初代シルビアの美しいスタイリングは、私の日本車、外車を合わせた50年ほどの車歴の中で「ベスト1」と記憶しているものだ。しかし、残念ながらオーナーになったことは一度もなかった。それはフェアレディーZに比較してかなり高価であったことで、私もフェアレディーZを選んでしまった。

 今度こそ「スペシャルティーカー(特別な車)」として、誰からも認められる車で、若者にも手の届く価格であってほしい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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