グンゼ、着るだけで生体情報取得する衣料「筋電WEAR」開発 RIZAP向け

2017年9月26日 19:32

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左から、「正しいスクワット」「スワットを実施した際のアプリ画像」「筋電WEAR」。(写真: グンゼの発表資料より)

左から、「正しいスクワット」「スワットを実施した際のアプリ画像」「筋電WEAR」。(写真: グンゼの発表資料より)[写真拡大]

 グンゼは25日、着用するだけで生体情報を取得する衣料「筋電WEAR」を開発したことを発表した。9月よりRIZAP向けに本格的に提供を開始している。

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 「筋電WEAR」は導電性の生地をセンサーとして内蔵したウエア。トレーニングにおいて目的とする筋肉の使用状況をアプリで可視化、リアルタイムに生体情報を取得できるという。着脱が比較的容易で、しなやかさと通気性を兼ね備えていることも特徴とされている。

 具体的な使用方法は、ウエア(トップス、ボトムス)とデバイスを装着し、タブレット端末とペアリングを実施。各筋肉部位での強度を調整して、トレーニングを開始する。トレーニング終了後は、アプリでトレーニングの内容と筋肉の使用状況を確認できるという。ちなみにウエアはデバイスを外した状態での洗濯が必要とされている。

 「筋電WEAR」を使用するRIZAPは、これまで身体に貼るパッド等で測定を行ってきたが、特定の体勢が取れないなど問題が生じてきたという。そこで機能性肌着素材に強みを持つグンゼに注目、RIZAP側より協力を依頼し、両社連携のもと2年がかりで同製品の開発が実現した。

 グンゼは1896年に製糸業として創業し、ストッキングや肌着の生産を通じて、編み・織りなどの繊維加工技術を有している。一方で、20世紀中盤よりプラスチックや電子部品事業にも進出、センシングや電子回路形成技術も保有してきた。こうした経緯より、衣服とテクノロジーの融合においては独自の強みを持ち、近年では機能性肌着素材の研究に力を入れていた。

 16年にはNECと共同で、肌着として日常的に着用できる衣料型ウェアラブルシステムを開発。着用者の姿勢やゆがみなど、身体の状態を見える化した着用インナーの開発実績も今回の布石となっていた。

 現在、運動時における機能性肌着素材の研究・開発は各社競争が激化している。4月にはNTTドコモなどが、レーシングドライバーの生体情報を計測する実証実験を開始。機能素材技術を用いたアンダーシャツを活用して、高速レース時におけるドライバーの身体状態と走行状況の相関関係を検証したという。

 これまで運動時の生体情報は、個人の感覚に基づいたものをベースにしていたが、今後はこうした機能性肌着の着用により客観的な生体情報を分析できそうだ。一方で、デバイスの着脱など懸念事項も残るため、さらなる技術的な進化も期待していきたい。

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