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金が値下がり、欧州・朝鮮半島の軍事的緊張鎮静化受け
金の延べ棒。[写真拡大]
ここしばらく高値で推移していた金相場に顕著な値下がりが生じている。主な要因としては、シリア情勢と北朝鮮情勢の軍事的緊張の鎮静化を挙げることができるだろう。
ごく一般的な論からいうと、国際的な軍事的緊張は、金相場を高める傾向がある。地政学的リスクは、投資家をして「手堅い」「安全な投資先である」金の購入に走らせるからである。有事の金、という言葉もある。
シリアに電撃的な軍事的緊張が走ったのは先月、4月の7日(日本時間)である。真偽のほどは今なお定かではないがシリアの現体制であるアサド政権が民衆に対して化学兵器を使用したとの報告がなされ、アメリカがそれに対する制裁措置としてミサイル59発を撃ち込んだのだ。
また、時は前後して、北朝鮮でも一時、軍事的緊張が高まった。アメリカの北朝鮮に対する態度硬化、北朝鮮のミサイル発射失敗などの要因を受け、「×月×日に開戦ではないか?」などと、これは根も葉もない噂話に過ぎないとはいえ、そのような声が聞かれるほどには、情勢は緊迫したのである。
場所は遠くユーラシアの西と東の話ではあるが、いずれの問題も、万が一の可能性を考えればどこまで事態が悪化するか想像もしきれないような火種ではある。しかし、ふたを開けてみれば、シリアでは対立関係にあるトルコとロシアが相互に「安全地帯」を確保することで合意していたことが明らかになり、また朝鮮半島では、韓国に親北朝鮮的傾向の強い新大統領が誕生することが決定、アメリカもまた北朝鮮に対する譲歩を示すに至って、緊張状態はかなり緩和されたと言っていい。
そのような次第で、一時はかなりの高まりを見せていた金相場が、きょう現在では下落傾向になっているのである。9日の金相場は、1トロイオンス1,225ドル前後で推移し、10日もまた前日同様の水準に落ち着いた。この水準は、3月中旬以来の安値傾向となる。
また、この安値傾向の要因はまだ二つあると目される。一つは、フランスにおけるマクロン政権の誕生による、EUの安定化への予測。そしてもう一つの要因と目されているのは、アメリカにおける6月利上げの予測である。 (記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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