GWに観たい映画!『美女と野獣』が爆発的ヒットを記録する理由

2017年5月1日 18:46

印刷

野獣の再現度やエマ・ワトソンの演技力以上に、現代人にも刺さる物語が『美女と野獣』の魅力である(c)ディズニー

野獣の再現度やエマ・ワトソンの演技力以上に、現代人にも刺さる物語が『美女と野獣』の魅力である(c)ディズニー[写真拡大]

■上映初週の興行収入が10億円突破の『美女と野獣』

 2017年4月に上映がはじまった実写版『美女と野獣』だが、初週には興行収入10億円を突破した。ディズニー映画の中でも人気作品の実写化だったが、初週だけ見れば『アナと雪の女王』よりも好調なスタートである。

【こちらも】東京ディズニーランドに『美女と野獣』や『ベイマックス』、2020年春に

■『美女と野獣』のあらすじ

 『美女と野獣』はもともとフランスの民話となっている。それを元に1991年にウォルト・ディズニーがアニメーション映画として制作し、その名前が一気に有名なものとなった。

 ある日、一国の美しい王子の元に魔女がやってくる。その魔女によって王子は醜い獣の姿に変えられ、さらに家臣も食器などの道具や家財に姿を変えられる。魔女は彼らを人外の姿に変えると共に、一輪のバラを置いていく。そのバラが散る前に「真実の愛」に気付かないと彼らは人に戻れないのだ。

 絶望に暮れる王子たちであったが、そこに町娘のベル(エマ・ワトソン)がやってくる。彼女は目の前に現れる獣の王子にも応じずコミュニケーションを試みることで、王子の心に変化が生まれてくる。

■現代版の愛の形を表現

 『美女と野獣』は従来のファンタジーと違い、お姫様が王子様にキスをしてハッピーエンドという物語ではない。これは原本でも変わらず、そして2017年に実写化された物語でも同じである。今回の実写化で強く物語の軸となったのは「母親」と「変化」だろう。

 アニメ版ではベルと王子の母親像はあまり映し出されていなかった。しかし、実写版では双方の母親にスポットが当たる形になっている。

 ベルの母親は小さい頃に亡くなり、その影響で小さな村に引越すことになる。その村では変化こそないがコミュニティが限定され、多くのことを学ぶ機械を失ってしまう。

 王子に関しても母親はおらず、父親と城の中だけで生活することを余儀なくされた。その結果、誰かを愛する気持ちを知らずに育ち、魔女のアガットによって野獣の姿に変えられる。しかし、アガットは魔法をかけて立ち去るのではなく、野獣が人間に戻れるまで城に居続ける。さながら母親代わりのアガットの存在は、アニメ版と大きな違いになっている。

 この2人は母親の不在により、1つのコミュニティに閉じ込められる形になってしまう。確かに子供を守るためには一定のルール下や場所で保護することも大事である。しかし、それも過ぎれば子供から「変化」を促す機会を奪いことを示唆している映画でもあるのだ。

■GWに家族で見るのもアリ

 『美女と野獣』はただのお姫様と王子様の恋物語ではない。お互いに孤独を感じ合う2人が出会い、共感に止まらず変化を受け入れて愛し合う物語である。重厚な恋物語が描かれる『美女と野獣』であるが、子供だけでなく大人でも十分に楽しめる作品だ。GWに予定が決まっていないご家族や恋人同士にもおすすめできる映画である。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事