生鮮食品扱う「Amazonフレッシュ」、差別化ポイントは「配達」にあらず

2017年4月22日 10:11

印刷

Amazonフレッシュのトップページ(写真:Amazon.co.jp社発表資料より)

Amazonフレッシュのトップページ(写真:Amazon.co.jp社発表資料より)[写真拡大]

  Amazon.co.jp(以下、Amazon)は21日、Amazonプライム会員向けに生鮮食品を購入できる新サービス「Amazonフレッシュ」を開始した。多くの報道では「最短4時間の配送」「生鮮食品」というフレーズが踊っているが、拡大する食品宅配市場において、これらはもはや付加価値とはならない。差別化を可能にするのは「取扱商品」にある。

【こちらも】アマゾン、「第1類医薬品」販売開始 リアップ、ガスター10など

 Amazonは今回新たに生鮮食品を取り扱うわけではない。すでに2008年より扱っており、2015年9月にはboxに商品を詰め、1箱290円で翌日に配達するという「Amazonパントリー」というサービスも行っている。今回のサービスでは、最短で注文から4時間後に商品を受け取れる。また配送時間帯については午前8時から深夜0時までの2時間ごととなる。30日間は無料で利用でき、その後月額500円となる。現時点での配送対象エリアは東京都の港区、千代田区などの6区域だが、順次拡大する方針だ。

 ヤマト運輸の話題が続き、この配達について注目が集まりがちだが、ネットスーパーで先行しているイトーヨーカドーでは「当日注文、当日お届け」、そして「最短4時間」をすでに行っている。イオンでも「最短当日お届け」だ。したがって生鮮食品においては、Amazonの「当日配達」は付加価値とはならない。

 Amazonが競合他社と比べて付加価値を提供できるのは、取扱商品の内容だ。Amazonフレッシュでは一般的な食品に加え、有名精肉店の人形町今半や、京都の下鴨茶寮などの専門店の商品を扱い、またオイシックスの有機野菜や果物も扱う。スーパーが鮮度の良いものを売るのは、もはや当然のことである以上、スーパーでは扱わない商品の拡充が、食品宅配市場でのシェア拡大のカギとなる。

 今半のような専門店グルメとして参加しているショップは現在30社程度だ。デパ地下等に出店している有名店は、そのブランドイメージからスーパーでの販売は拡大しにくい。Amazonがこの専門店を取り込むことができれば、「安い」イメージのないショッピングモールとしての立場を確立できるかもしれない。


 配送対象地域:東京都港区、千代田区、中央区、江東区、墨田区、江戸川区(一部エリアを除く)
 配達時間帯:午前8時から深夜0時まで、2時間ごとお届け時間帯から指定可能
 配送料:注文額が6,000円以上の場合は無料。6,000円未満の場合は、1回の注文あたり500円
 月会費: Amazonプライム会員(年会費3,900円)は30日間無料。その後は月額500円(税込)
 表記金額はすべて税込み。(記事:高橋珠実・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事