蚊が媒介する複数の伝染病を防止、かゆみも減らすワクチンの臨床実験

2017年2月26日 21:07

印刷

記事提供元:スラド

カが媒介する複数の伝染病を防止するというワクチンの臨床試験を米国立衛生学研究所(NIH)の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が開始した(ニュースリリース臨床試験詳細Ars Technicaの記事)。

このワクチンは英SEEKが開発した「AGS-v」と呼ばれるもので、デングや黄熱病、ウエストナイル熱、チクングニア熱、リフトバレー熱、日本脳炎、ジカ熱などの感染防止に効果があるという。AGS-vはこれらの伝染病をもたらす病原体の抗体を作るのではなく、カの唾液への反応を変える抗体を作る。カが媒介する伝染病はカの唾液により感染力が強まることが知られており、AGS-vは唾液への反応を変えることで感染を防ぐという仕組みだ。これにより、カに刺されたときのかゆみも少なくなるほか、抗体を持つ人から吸血したカの寿命は短くなり、繁殖の抑制も期待されるとのこと。

臨床試験のフェーズ1では被験者を3グループに分けてAGS-v、AGS-v+補助剤、プラセボをそれぞれ接種し、人体への安全性や免疫反応を調べる。また、病原体に感染していないネッタイシマカを用い、刺された後の接種者の免疫反応や抗体の変化をみるほか、吸血後のネッタイシマカの吸血量や産卵数、ネッタイシマカの唾液に包まれたジカウイルスの繁殖に対する接種者の末梢血単核細胞や血清の影響なども調べるとのことだ。

 スラドのコメントを読む | サイエンスセクション | サイエンス | 医療

 関連ストーリー:
より多くの蚊がマラリア感染者に引き寄せられる理由 2017年02月16日
フロリダ、遺伝子操作したネッタイシマカの放出実験の実施を地元対策委員会が決定、実験場所は変更へ 2016年11月25日
フロリダで計画されている遺伝子操作したネッタイシマカの放出実験、地元では65%が反対 2016年11月15日
ジカウイルス、親の蚊から子の蚊に垂直感染することが確認される 2016年09月04日
米FDA、遺伝子操作したネッタイシマカの放出実験による環境への重大な影響はないとの最終判断 2016年08月10日

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事