ナチスの国歌を使用したドキュメンタリー、ドイツ国立図書館が著作権を主張してYouTubeから削除させる

2016年9月30日 10:30

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記事提供元:スラド

headless 曰く、 ヒトラーのもたらした恐怖を描く2006年のドキュメンタリー映画「You Don't Know Hitler」がドイツ国立図書館からの著作権侵害の申し立てによりYouTubeから削除され、制作者のJames K. Lambert氏が復元を求めて戦っている(Lambert氏のブログ記事1ブログ記事2TorrentFreakSoftpedia)。

 この作品はナチの宣伝映画「意志の勝利」(1935)を含む、さまざまな歴史資料などを使用して構成されている。Lambert氏がYou Don't Know HitlerをYouTubeで公開したのは4年前で、たびたび著作権侵害の申し立てを受けているが、すべて異議申し立てが通っており、実際に削除されるのは今回が初めてだという。

 ドイツ国立図書館が著作権を主張しているのは、作品内で使用されているナチの国歌とも呼ばれる「Horst Wessel Lied (Die Fahne Hoch: 旗を高く掲げよ)」のバージョン11で、Lambert氏は「意志の勝利」から抽出したものを使用している。ドイツ国立図書館はBR Enter Musicを通じてこの録音の著作権を主張し、You Don't Know HitlerをYouTubeから削除させたとのこと。

 歴史上、ナチに関連する著作物に著作権は認められないとされているが、ドイツ政府は何年にもわたってこういった著作物について著作権の取得を続けているのだという。中には著作権保護期間内のものもあるとのことだが、この録音は少なくとも81年以上前のものであり、どのような根拠で著作権侵害を主張しているのかは不明だ。

 Lambert氏もこのような著作物に著作権は認められないとの立場だが、著作権が認められるにしてもYou Don't Know Hitlerでの使用は教科書通りのフェアユースだと主張している。また、YouTubeの異議申し立てシステムについても、著作権を主張する側が真実を申し立てているとの仮定に基づくものであり、異議を申し立てる側が十分な主張をできない仕組みになっていることを指摘する。

 なお、You Don't Know Hitlerは現在もVimeoでは視聴可能だ。また、Lambert氏はドイツ国立図書館やBR Enter、YouTubeに抗議のメールを送る形での支援をテンプレート付きで求めている。

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