IT戦略にクラウドが影響を与えると考える企業は44.8%=IDC調査

2015年8月11日 18:56

印刷

IT戦略に与えるクラウドの影響、現在と2年後(IDC Japanの発表資料より)

IT戦略に与えるクラウドの影響、現在と2年後(IDC Japanの発表資料より)[写真拡大]

 IT専門調査会社 IDC Japanは11日、今年4月に実施したユーザー動向調査「2015年 国内クラウド調査」の結果を発表した。その結果、「現在(2015年)のIT戦略にクラウドが影響を与える」と考える企業は44.8%にとどまった。また、「2年後(2017年)のIT戦略においても、クラウドが影響を与える」と考える企業割合は50.1%となった。

 国内市場では、クラウドは広く普及を始めた。また、クラウドは登場して以来、ITを大きく変革すると言われてきた。しかし、クラウドがIT戦略に影響を与えると考える企業は、決して多いものではないようだ。

 一方、パブリッククラウドサービスやプライベートクラウドなど、何らかのクラウドをすでに導入/利用中の企業では、クラウドが現在のIT戦略に影響を与えると考える企業割合は78.7%(「強く影響」35.6%、「少し影響」43.1%)となる。また、2年後のIT戦略では、クラウドが「強く影響」を与えると考える企業割合は48.5%。これらの結果に関して同社は、実際にクラウドを利用したことによって、クラウドの価値を認識する企業が多いことを示しているとした。また、IT戦略に対するクラウドの影響度が、年々高まっていくことを表していると分析した。

 また、クラウドのユーザー層は拡大しているが、企業のクラウドあるいはIT戦略において、「先駆的な企業」と「一般的な企業」の間には溝が見られるという。この溝は、時間の経過と共に埋まっていくものの、一般的な企業に対して、「効率化だけではないクラウドの価値」をベンダーは訴求し続ける必要があると同社は分析する。

 こうした効率化だけではないクラウドの価値の訴求では、社会/企業活動のデジタル化に対応した「IT(クラウド)を使った事業強化」が重要になるという。また、現在、クラウド市場では「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」といった配備/サービスモデルに焦点を絞り、コスト/セキュリティといった要件から「適材適所」でクラウドを選択し、連携させるハイブリッドクラウドが高い注目を集めている。

 こうした傾向に対し同社は、もちろん配備モデルの検証は重要だが、それだけでなく、「業務の効率化」と「事業拡大」の統合/連携を考慮したハイブリッドクラウドこそが、価値を創造する新たな基盤となるという。同社のITサービスリサーチマネージャーの松本聡氏は「ベンダーにとって、真のハイブリッドクラウドを実現するソリューションの整備が喫緊の課題」と分析している。(記事:町田光・記事一覧を見る

関連記事