山口大など、超巨大ブラックホール付近から噴出する電場ジェットがふらつく現象を観測

2015年8月2日 20:32

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VERA電波望遠鏡で観測した、マルカリアン421のジェットの根元の動き。最も大きく動いた時には、最初の位置に比べて30光年下流まで動いたことになる。(国立天文台の発表資料より)

VERA電波望遠鏡で観測した、マルカリアン421のジェットの根元の動き。最も大きく動いた時には、最初の位置に比べて30光年下流まで動いたことになる。(国立天文台の発表資料より)[写真拡大]

 山口大学の新沼浩太郎准教授、韓国天文宇宙科学研究院の紀基樹特任上席研究員等で構成される研究チームは、これまで不動と思われていた電波ジェットの根元の位置が、ジェット噴流の軸に沿って大きく“ふらつく”新しい現象を発見した。

 活動銀河の中心に潜む超巨大ブラックホール近傍から電波ジェットが噴出する現象が、長年観測されてきた。

 今回の研究では、国立天文台のVERA電波望遠鏡を用いて、活動銀河マルカリアン421の中心核付近で発生したX線大爆発現象の直後に、高空間解像度・高頻度の「相対VLBI」観測を行った。その結果、動かないと信じられていた電波ジェット根元の場所が、ジェット噴流の軸に沿って大きく“ふらつく”という現象を世界で初めて捉えることに成功した。この結果から超巨大ブラックホールと電波ジェットの根元は30光年以上離れている時期があるということが分かった。

 今後は、本研究成果が、ジェットがどのように形成され噴出しているのかという宇宙物理学の長年の謎を解き明かすための新たな手掛かりになると期待されている。

 なお、この内容は「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。論文タイトルは、「Discovery of a wandering radio jet base after a large X-ray flare in the blazar Markarian 421」。

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