サプライズがサプライズを呼び、さらに一段とサプライズ願望を強める?=浅妻昭治

2012年2月13日 14:16

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

2012年相場は、早くも1カ月半が経過しようとしているが、それにしても今年の相場は、サプライズが多いと感じている投資家は少なくないのではないだろうか?

2012年相場は、早くも1カ月半が経過しようとしているが、それにしても今年の相場は、サプライズが多いと感じている投資家は少なくないのではないだろうか?[写真拡大]

【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】

  2012年相場は、早くも1カ月半が経過しようとしているが、それにしても今年の相場は、サプライズが多いと感じている投資家は少なくないのではないだろうか?東日本大震災の復興関連の低位株にストップ高が続出したことも驚きだったが、それ以上に大幅に赤字転落したり、赤字幅を悪化させた主力電機株が、軒並み逆行高したことにもビックリさせられた。

  投資家は、合理的に投資選択しリスク回避的に投資行動すると経済の教科書では想定されているが、サプライズに脆いこともこれまた古今、東西を問わず共通である。サプライズは、投資家の思い込みを極限まで高め、ついつい過剰反応をさせてしまう魔力を秘めているもののようで、サプライズがサプライズを呼び、さらに一段とサプライズ願望を強めることになる。低位株から主力電機株へのめまぐるしい循環物色は、どうもこのサプライズの延長線上にあるようである。

  サプライズが二乗、三乗するのだから、銘柄の物色トレンドも通常とは趣が異なる。これは、例えば三菱モルガンスタンレー証券のレポートによる今年1月の業種別の騰落率ランキングの分析をみれば明らかである。今年1月の上昇率トップは海運株、第2位は証券株となったが、両業種は、昨年の値下がり率ランキングでそれぞれ2位、1位にランクされたご迷惑セクターであった。同レポートでは、両業種の突出を下げた株ほどよく上がるとするアノマリーの「リターン・リバーサル」買いと分析している。

  確かに米国の経済指標には、景気回復を示唆するシグナルが点滅しているようだし、欧州の債務危機も収束の方向に動いて、円高・ユーロ安も、一時は1ユーロ=103円台まで反転するなど、風向きが変わってきた感触はある。この先、市場の悲観ムードが楽観トーンに変わり、日経平均株価が、9000円台を固めから1万円台挑戦などという威勢の相場コメントが聞かれるようになると、全業種がまんべんなく循環物色され、相場水準を押し上げる可能性も強まることになる。現に前週末にこれまでまったくカヤの外の置かれっぱなしだった紙パルプ株が突如、動意付いたが、これも「リターン・リバーサル」買いの類だろう。

  相場の方向と物色トレンドが、この「リターン・リバーサル」に間違いなく進むとしたら、最も「サプライズ」願望が高まる関連株として注目したいのが、昨年2011年の値下がり率ランキングの上位銘柄である。同ランキングには、ワーストワンの東京電力 <9501> の下落率90%を筆頭に半値、6割減となった銘柄が並んでいる。まさによく値下がりした銘柄だからよく値上がりする「リターン・リバーサル」銘柄の資格要件を具備していることになる。

  しかも、もう先発隊まで発進した。同ランキングのランクイン銘柄から、「リターン・リバーサル」の好パフォーマンスを示現した銘柄が出ているのである。順位20位の新日本無線 <6911> は、昨年大納会の大引け値からこの1月に2.7倍と大化けし、27位のTAC <4319> も84%高を演じている。年初の低位株物色に乗って急騰したものだが、風向き次第で同様の「リターン・リバーサル」銘柄が登場しないとも限らない。なかでもこのディープな関連株として注目したいのが、任天堂 <7974> の周辺株である。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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