日本エムデ・エム:2Q連結は減収ながら大幅増益黒字転換

2012年1月23日 13:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■アメリカの売上高はドルベースでは増収

  骨接合材の日本エム・ディ・エム <7600> は17日、今12年3月期第2四半期決算説明会を開催した。なお、今期より、決算月は5月から3月に変更となるため、第2四半期間は、6月から11月まで、下半期は12月から3月までで、通期業績は10ヶ月の変則決算となる。

  今期第2四半期連結業積は、売上高45億23百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益1億79百万円(同18.9%減)、経常利益89百万円(同325.6%増)、純利益22百万円(前年同期△38百万円)と減収ながら、経常利益、純利益は大幅増益で黒字転換となった。

  第2四半期業績の概要について、代表取締役大川正男氏より説明が行われた。

  売上高については、減収となったが、その要因は、償還価格の下落と円高の影響によるもの。むしろアメリカでの売上高は、ドルベースでは増収であったが、円高により、円に換算すると減収となっている。

  原価率は、39.0%と0.2ポイント上昇しているが、これは償還価格の下落によるもの。一方で、自社製品比率が高くなっていることから利益率が高くなり、原価率は低減しているため、0.2ポイントの微増に抑え込んだといえる。

■最終利益の黒字化は4期振り

  販管費は25億79百万円(同0.4%増)であった。販管費の主な増加要因は、北陸3県、大阪をカバーしている取引先の倒産により、貸倒引当金47百万円が発生したことによる。それ以外の費用については、計画以上に削減出来た。

  しかし、取引先の倒産の影響で、営業利益は2ケタの減益となった。

  営業外損益は△90百万円、前期は△2億円であったので、減少したといえるが、今期も予想外の為替差損が発生した。今期の為替差損は営業外損益△90百万円のうちの△28百万円であった。

  しかし、経常利益は大幅増益となり、純利益も黒字転換。最終利益の黒字化は4期振りとなっている。

  「骨接合材の売上高は、上期下期で分けると、冬季に骨折が多いため、下期の売上が伸びます。そのような状況の中で、上期に黒字化を達成できたことを喜んでいます」(大川正男社長)。

■自社製品の売上高は5.9%増、自社製品比率は2.4ポイントアップ

  製品別の売上高は、国内37億85百万円(同0.2%減)。内訳は、骨接合材19億13百万円(同0.1%減)、人工関節12億48百万円(同5.9%増)、脊椎固定器具2億50百万円(同24.0%減)、その他3億74百万円(同1.0%増)であった。

  米国の売上高は、7億37百万円(同3.9%減)。内訳は、人工関節5億90百万円(同1.0%増)、脊椎固定器具1億47百万円(同17.2%減)。

  自社製品の売上高は、17億42百万円(同5.9%増)、自社製品比率は、38.5%で2.4ポイントアップしている。

  「米国の売上高は減収となっていますが、ドルベースで換算すると925万5千ドルで、前期比7.1%増となります。前期の1ドルが88円85銭、今期79円71銭と9円14銭高くなっています。その影響が出ています。もし、前期と同じレートであれば、今期の売上高は全体でも増収になっていたはずです」(大川正男社長)。

■自己資本比率は0.2ポイント上昇し65.1%、財政状態は健全そのもの

  販管費は、25億79百万円(同0.4%増)と微増であった。内訳は、販売関係費2億22百万円(同46.0%増)、人件費10億98百万円(同0.3%増)、一般経費2億76百万円(同3.1%増)、設備費用4億98百万円(同7.7%減)、政策的費用1億44百万円(同3.9%減)、支払費用2億86百万円(同7.3%減)、その他53百万円(同0.5%減)。

  販売関係費が大幅に伸びたが、これは取引先倒産により、貸倒引当金繰入額47百万円を計上したことによる。設備費用が減少したのは、資産効率運用に伴う医療工具購入抑制によるもの。支払費用の減は、ロイヤリティ、コミッションの減少による。全体的には、貸倒れがあったものの、0.4%の微増に留めているように、コスト削減は進んでいる。

  その結果、連結の財政状態は、総資産174億3百万円(同2.4%減)、純資産113億27百万円(同2.1%減)となり、自己資本比率は0.2ポイント上昇し65.1%。財政状態は、健全そのものといえる。

■最終利益は中期経営計画を大きく上回る

  今期12年3月期連結業績予想は、売上高88億50百万円、営業利益5億20百万円、経常利益4億20百万円、純利益△2億円を見込んでいる。最終利益が赤字となるのは、法令改正等に伴う法人税等の増加による影響。尚、先述しているように、今期は決算期変更に伴う、10カ月の変則決算である。

  今期は、中期経営計画の最終年度に当たるため、第2四半期の業績と計画数値を比較すると、売上高45億23百万円(計画比3.8%減)、営業利益1億79百万円(同19.3%増)、経常利益89百万円(同11.0%減)、純利益22百万円(同120.0%増)と、売上高、経常利益が計画を下回るものの、最終利益は倍増と計画を大きく上回っている。

■骨接合材料の5品目は、前倒しで薬事承認を取得

  中期経営計画の重要施策としては、メーカー機能強化、商社機能強化、海外事業の拡大、物流機能強化、人材強化の5つを掲げている。この重要施策についてどこまで実現できているのか、これまでの成果を振り返った。

  「メーカー機能強化については、年末年始に開示させていただきました。自社開発製品と、一部は商社機能を強化するということで、ナカシマメディカル社、オーミック社と提携を行ってきました。骨接合材料の5品目は、前倒しで薬事承認を取得できたと思っています。今のところ順調に進んできています。また、自社製品開発の人工股関節であるオベーションヒップシステムが計画以上に販売が進んでいます。昨年の8月から徐々に開始してきたのですが、10月から全国展開し、順調に進んでいます。メーカー機能の総括をすると予想を上回るペースで進んでいると思っています。

■ナカシマメディカル社の製品の全国販売を開始

  商社機能強化については、ナカシマメディカル社の製品の全国販売を開始しています。それ以外については、新規提携候補企業数社との契約交渉が順調に進んでいます。

  海外事業の拡大につきましては、北米における人工股関節新製品の販売を伸ばしています。特に、人工股関節のカップ部分の販売が伸びています。それ以外の地域、例えば中国をはじめとしたアジア諸国についても、自社製品の販売基盤確立を準備しています。

  物流機能強化に関しては、3月、4月から順次、新製品を販売していく計画ですので、段階的導入に向けた体制整備が順調に進んでいます。一方、物流業務の効率化に向けた業務マニュアルのフロー見直しも順次実施しています。

  人材の強化については、外部の講師を招いたり、あるいは研修を行ったりして、多種多様なマネジメント層向け外部トレーニングを実施しています。更に、トレンド製品導入によるセールススキルのアップのために、研修は全国各地で行っています」とこれまでの取組みと成果について語った。

■市場規模600億円以上の人工股関節市場向けに、新製品オベーションヒップシステムを投入

  同社では、「日本人の骨格体型に合致し、尚且つ日本人医師のニーズを満たす製品の提供」をコンセプトに足関節用、手関節用プレートを開発し、新製品の薬事承認を取得している。今後、順次販売を開始する計画。

  そのような状況の中で、最も注目されているのが、市場規模600億円以上の人工股関節市場向けに、同社が開発した新製品オベーションヒップシステムである。既に、米国市場では、07年より販売を開始し、安定した臨床成績を保有しており、数年前から日本での販売に向けて、日本人の骨格データ分析を行い、より日本人の骨格体型に合うよう改良を重ね、昨年の10月より販売を開始した。その結果、10月の売上高は4000万円弱であったが、11月は7000万円を超える売上高となり、この市場での売上拡大が期待されている。

  長い間日本での独占販売契約を結んでいた、ジョンソン・エンド・ジョンソン社との契約が今年6月30日で終了することから、同社独自のルートによる骨接合材料の仕入れ、あるいは自社開発製品が急務であったが、オーミック社、ナカシマメディカル社の骨接合材の全国販売を開始し、自社製の5品目の薬事承認を取得したことから、計画を上回るペースで進んでいる。また、中国市場への進出も見据え、準備しているため、今後の業績拡大が期待できる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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