米ヘッジファンド、人員削減とポジション解消を加速―5日のハイテク株急落で打撃拡大

2026年11月7日 20:41

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記事提供元:International Business Times

米ヘッジファンドが運用チームの削減やポジションの解消を進めている。(Photo by Zoshua Colah on Unsplash)

米ヘッジファンドが運用チームの削減やポジションの解消を進めている。(Photo by Zoshua Colah on Unsplash)[写真拡大]

 米ヘッジファンドが運用チームの削減やポジションの解消を進めている。10月の相場急落で業界全体に損失が広がり、すでに大幅な利益が消えていたところへ、5日のハイテク株の売りが追い打ちをかけた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

 影響は人工知能(AI)関連株やヘルスケア株に投資するファンドから、リスクの高い社債を取引する運用会社まで及んでいる。運用担当者は事業の縮小やレバレッジ(借入金)の圧縮を進めており、一部では投資家への資金返還の準備にも入っている。

■10月のポジション解消、10年超で最速

 WSJが引用したモルガン・スタンレーの顧客向けリポートによると、個別株運用型のヘッジファンドは10月、10年余りで最も速いペースでポジションを解消した。これらのファンドの市場エクスポージャーは6月以降、約9%減少している。

 モルガン・スタンレーによると、S&P500種株価指数とナスダック総合指数が2026年の年初来でプラスを維持しているにもかかわらず、こうしたファンドの40%超は10月までの年初来成績が横ばいかマイナスだった。

■有力ファンドで事業再編

 損失の拡大は、有力ファンドの事業の形も変えつつある。運用資産約70億ドル(約1兆1100億円)のサムリン・キャピタルは金融サービス株への集中を進めており、その他のセクターを担当する運用担当者や責任者の退社が相次いでいる。WSJが同社に詳しい関係者の話として報じた。同社のファンドは10月までに約5%の損失を出した。

 グレン・デュービン氏が立ち上げた運用資産約40億ドル(約6320億円)のエンジニアーズ・ゲートは、人間の投資判断と定量的手法を組み合わせる「クオンタメンタル」事業の大半を閉鎖する。WSJによると、同戦略のポートフォリオ・マネジャーは5人を除いて全員が削減され、事業責任者のマイク・デイラマニ氏も退社する。

 共同創業者のグレッグ・アイズナー氏が率いる同社は、引き続きクオンツ運用に注力する。WSJによると、同社の10月までの成績は1桁台半ばのマイナスだった。同社の人員削減は、ブルームバーグ通信が先に報じていた。

■ローン・パイン、上半期の40%超の上昇から反転

 反動が特に大きかったのはローン・パイン・キャピタルだ。WSJが引用した同社に詳しい関係者によると、同社のヘッジファンドは上半期に40%超上昇したが、第3四半期には過去最悪の四半期を経験した。

 10月にはさらに手数料控除前で8.8%下落し、年初来の成績は手数料控除前で7.5%のマイナスとなった。同社の運用資産は9月時点で約190億ドル(約3兆円)だった。同社の投資家向け書簡は、AI関連株の下落と、AIの脅威にさらされるとみた企業への空売りの失敗を損失の要因に挙げた。

 空売りの対象とした企業の株価は逆に上昇し、下落で利益を得る狙いのポジションが損失を出した。そこへ5日の急落が追い打ちをかけた。ゴールドマン・サックスの顧客向け説明によると、通信・メディア・テクノロジー(TMT)に特化したファンドは4%超の損失を出し、夏場のAI株の調整前に最大24%に達していた年初来の利益をほぼ失った。

■マルチストラテジー型も1.4%下落

 ゴールドマンによると、複数の市場や手法に投資するマルチストラテジー型ファンドは1.4%下落した。WSJによると、5日の急落でナスダック総合指数の時価総額が約2兆5000億ドル(約395兆円)失われた後、サード・ポイント創業者のダン・ローブ氏はX(旧ツイッター)に「ヘッジファンドマネジャーをハグしてあげて」と冗談交じりに投稿した。

 ウォールアイ・キャピタルも、2020年3月以来最悪の月を経て、個別株運用のポートフォリオ・マネジャー数人を解雇した。運用資産が170億ドル(約2兆6900億円)を超えていた同社は投資家に対し、最適な運用規模を見直した上で資金の一部を返還する方針を伝えた。

 このほか、アリニ・キャピタル・マネジメントは債券投資を大幅に縮小した。WSJによると、銀行がマージンコール(追加証拠金の請求)で追加担保を求めたことも一因だという。こうした撤退は、複数の運用会社が同じ銘柄を保有している場合に圧力を増幅させる可能性がある。損失を抑えるために各社が似たポジションを手じまうと、その売りがほかのファンドがまだ保有するポジションの重荷になるためだ。

 一方、レバレッジを先に圧縮していたことが、一定の防御策として働いた。ヘッジファンドと取引のある銀行幹部はWSJに対し、運用担当者が借り入れを減らしていなければ、5日の損失はさらに大きくなっていた可能性があると語った。

※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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