川崎汽船、5年で最大8000億円還元、郵船は330円に増配―海運3社の還元策を比較

2026年11月7日 11:20

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川崎汽船、日本郵船、商船三井の海運大手3社の業績と還元策を比較する。(Photo by Jacob Meissner on Unsplash)

川崎汽船、日本郵船、商船三井の海運大手3社の業績と還元策を比較する。(Photo by Jacob Meissner on Unsplash)[写真拡大]

 川崎汽船(9107)は4日、2027~2031年度に最大8,000億円の株主還元を行う計画を発表した。海運大手3社は中東情勢や航路の混乱による運賃上昇が追い風だ。日本郵船(9101)は増配、商船三井(9104)は累進配当と自社株買いを組み合わせる。還元の違いが鮮明になった。

■川崎汽船は年120円を継続 追加還元を計画

 川崎汽船は5年間の還元総額を7,000~8,000億円とした。年120円の配当継続に3,500億円規模を充て、残る3,500~4,500億円を追加配当か自社株買いに回す。年120円は今期予想と同額で、追加還元の時期と配分は今後決める。

 4~9月期の経常利益は前年同期比98.4%増の1,183億円だった。うち657億円は、3社が共同出資するコンテナ船会社ONEからの投資利益だ。北米向けの需要に加え、港湾混雑や喜望峰への迂回で船が不足し、短期運賃が上昇した。

 一方、エネルギー資源事業は前年の一時的な利益がなくなり減益だった。自動車船も航海の長期化や燃料費増の影響を受けた。新計画では自動車船やLNG船など、ONE以外の自営事業の成長を目指す。

■日本郵船は増益を配当に反映 輸送費用増も重荷

 日本郵船は5日、年間配当予想を240円から330円に引き上げた。純利益の40%を配当に回す目安に沿って、業績改善を配当額へ反映する。

 4~9月期は定期船事業の経常利益が前年同期比646億円増の979億円となった。一方、自動車事業は138億円減の351億円だった。ホルムズ海峡封鎖に伴う航路変更や燃料費増が響いた。物流事業も仕入れ価格上昇などで赤字に転じた。

 通期見通しも定期船は上方修正したが、自動車と物流は下方修正した。中東情勢は運賃上昇で利益を押し上げる一方、輸送費用の増加で利益を削る面もある。

■商船三井は配当の維持・増額を重視

 商船三井は2日、通期純利益予想を2,400億円から3,000億円へ引き上げた。ドライバルクやエネルギー、ONEの市況が想定を上回る。年間配当予想は従来の205円から変更していない。

 同社は2026年度から、年205円を起点とする累進配当を導入した。配当と自社株買いを合わせ、純利益の40%を目安に還元する。日本郵船が配当だけで40%を目指すのに対し、市況による利益の上振れを自社株買いにも振り向ける。

■長期保有の焦点はONE以外の稼ぐ力

 日本郵船は足元の増益を増配につなげる。商船三井は累進配当で配当の維持・増額を図り、利益の上振れを自社株買いにも回す。

 川崎汽船は年120円を継続し、5年間の追加還元枠を設けた。航路の正常化で運賃が下がれば、3社共通の増益要因は弱まる。長期保有では還元額だけでなく、ONE以外の事業の利益と輸送コストの変化が判断材料になる。(記事:中村葵・記事一覧を見る)

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