イランの洋上原油在庫が枯渇 米海軍の封鎖で対中販売の収入源に打撃

イランが中国向けの原油販売を維持するために取り崩してきたアジア海域の洋上在庫が、10月中旬までに枯渇した。(Photo by Fredrick F. on Unsplash)[写真拡大]
イランが中国向けの原油販売を維持するために取り崩してきたアジア海域の洋上在庫が、10月中旬までに枯渇した。米海軍による封鎖で在庫を補充できず、戦争による経済的負担が増すなか、石油収入を下支えしてきた供給源を失った。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が商品データ分析会社ケプラーの分析として報じた。イランはアジア海域のタンカーに保管していた原油を中国の製油所に供給してきたが、米国の封鎖により、新たな原油を送り込めなくなっていた。
ロイター通信は9月1日、米国が7月14日に封鎖を再開して以降、中国向けのイラン産原油を積んだ船舶はホルムズ海峡の通過に成功していないと報じていた。
イランはペルシャ湾内で一部の原油の積み込みを続けたものの、海外の買い手への輸送は事実上停止した。このため、中国向け販売は米軍の阻止海域の外に確保していた在庫に依存していた。販売に伴って取り崩すことはできても、補充はできない状態だった。
洋上在庫は、新たな輸出が制限されるなかでも収入をつなぐ役割を果たしてきた。7月中旬に約9000万バレルあった在庫は、9月初めには約2900万バレルに減少。その後、10月5日までに100万バレルを下回り、同月中旬までに尽きたという。
ただ、原油の引き渡しと代金の受け取りには時間差がある。販売済みの原油に対する支払いは在庫枯渇後も続く可能性があり、こうした代金の流入がほぼ途絶えるのは12月中旬ごろになる可能性がある。洋上在庫の枯渇が、直ちにすべての石油代金の入金停止を意味するわけではない。
イランは長年、制裁を回避して石油を販売するため、「影の船団」と呼ばれる輸送網を構築してきた。米財務省の資料によると、海運会社や仲介業者、船舶を組み合わせ、原産地を隠しながらアジアの顧客に石油を供給する仕組みだ。
米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)などは、輸送書類の偽造、船舶の位置情報の操作、不自然な航路、船舶間での積み替えといった手法を指摘している。こうした取引は、原油の出所や販売利益を得る関係者の特定を難しくする。
米政府は輸送網を支える事業者への圧力も強めている。財務省は10月21日、イランの影の船団の活動を支援したとして、海運代理店などに対する制裁を発表した。対象はタンカーそのものに加え、輸送を成立させるサービスの提供企業にも及んでいる。
一方、洋上原油在庫の枯渇は、イランの石油関連輸出がすべて止まったことを意味しない。ロイターは10月16日、イランが封鎖下でも液化石油ガス(LPG)やジェット燃料の一部を輸出していたと報じた。オマーン沖での船舶間の積み替えなどが利用されたという。これらは今回枯渇した原油在庫とは異なる製品で、一部の石油製品取引が続いていることを示す。
イランの輸出が圧迫される一方、中東の他の産油国では出荷が回復している。ロイターが10月22日に掲載したコラムによると、ケプラーのデータに基づく中東の10月の石油輸出量は同日時点で日量平均1730万バレルとなり、開戦前の2カ月間の平均1690万バレルを上回った。
※この記事はInternational Business Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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