OpenAI、ロボティクス人材に最大年俸50万ドル 学習データ基盤と自社ハード開発を拡大

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OpenAIはロボティクス関連で27件の求人を掲載し、データ基盤を担当する機械学習エンジニアには基本年俸38万~50万ドルを提示している。募集職種は機械学習だけでなく、アクチュエーター、ファームウェア、回路基板、試作、データ収集施設の運用、法務まで幅広い。
一連の求人からは、他社製ロボット向けにAIモデルを提供するだけでなく、ハードウェアの設計、学習データの収集、モデルの訓練、実機での検証を社内で連携させる方針が浮かぶ。ただし、現時点で一般向けロボットの製品仕様や発売時期は発表されていない。
■27件の求人が示す自社開発の範囲
2026年9月時点で公開されていた27件の求人は、すべてサンフランシスコ勤務で、公開された基本年俸は17万7000~50万ドルだった。最高額は、ロボティクス向けの分散データシステムや訓練インフラを構築する機械学習エンジニアで、基本年俸は38万~50万ドルに設定されている。
求人には、アクチュエーター設計、ファームウェア、PCBレイアウト、試作、ロボットソフトウェア、機械学習、データ収集施設の運用などが含まれる。実機の設計・製作から、ロボットを動かすモデルの学習、データ取得設備の維持までを網羅する構成だ。
ロボットの制御では、センサー入力を受け取り、短い周期で動作指令を返す必要がある。このため、一部の求人ではRustやC++など、実行時間やメモリー管理を細かく制御しやすい言語の経験が求められている。
OpenAIのH-1B関連申請では、研究科学者の基本年俸が最大68万5000ドル、ハードウェアエンジニアが最大55万5000ドルとなった例も確認されている。今回の求人は、同社がロボティクスでも高い報酬水準を設定し、限られた専門人材の獲得を進めていることを示す。
■模倣学習を支える遠隔操作データ
ロボットに物体操作を学習させる方法の一つが模倣学習である。人間がロボットを操作した際のカメラ映像、関節の状態、グリッパーの動作などを記録し、観測された状態から適切な動作を出力する方策を訓練する。
言語モデルが大量の既存テキストを訓練に利用できるのに対し、ロボットの実世界での操作データは用途や機体ごとに収集する必要がある。対象物の位置、照明、摩擦、ロボットの姿勢などが変わるため、データの量だけでなく多様性や品質も性能を左右する。
OpenAIのサンフランシスコの施設では、契約スタッフが3交代制でロボットアームを遠隔操作し、パンをトースターに入れる、洗濯物を畳むといった家庭内作業のデータを集めていると報じられている。2026年1月時点のスタッフ数は約100人で、2025年2月の稼働開始から施設の規模は4倍超に拡大したという。
操作には、カリフォルニア大学バークレー校の研究グループが開発した「GELLO」が使われている。GELLOは、対象となるロボットアームと対応する関節構造を持つ遠隔操作装置で、3Dプリント部品と市販モーターを使い、部品費300ドル未満で構成できる。
GELLOの研究では、VRコントローラーや3Dマウスと比較し、ロボット操作のデモンストレーションをより効率的かつ安定して収集できることがユーザー調査で示された。OpenAIの施設では、GELLOを使ってFranka製のロボットアームを操作しているとされる。
■初期チームの解散からロボット開発の再拡大へ
OpenAIは以前にもロボティクス研究を行い、ロボットハンドにルービックキューブを片手でそろえさせる研究などを発表していた。しかし、同社は2020年に当時のロボティクスチームを解散し、2021年に共同創業者のWojciech Zarembaがその背景を説明した。
Zarembaは、自己生成データと強化学習を中心とした当時の方向性を評価しつつ、汎用人工知能を目指すうえでは不足する要素があったと述べた。十分な訓練データを得るには、より高性能な動画モデルと大きな計算資源が必要になるとの見方も示していた。
OpenAIは2024年にロボティクスチームの再構築を始め、2025年から実世界データを集める施設を拡大した。以前の研究を単純に再開するのではなく、遠隔操作によるデータ収集、実機の運用、ハードウェアと機械学習の共同設計を組み合わせる体制へ広げている。
Sam Altmanは2026年5月、短期的にはデータセンターや電力網、工場などのインフラ建設に携わる熟練労働者を支援するロボットに取り組むと説明した。長期的な構想としては、個人が必要な作業を頼めるパーソナルロボットを挙げている。
■リッチモンド拠点とデータ基盤の拡張
OpenAIは2026年3月、カリフォルニア州リッチモンドのPortside Commerce Centerにある約20万2000平方フィートの産業施設を賃借した。郡の不動産記録では、OpenAI OpCo LLCによる賃貸契約が3月9日付で記録されている。
現地報道によると、建物の所在地は1411 Harbour Way Southで、以前はポータブル電源を開発していたMoxion Powerが使用を予定していた。Moxion Powerは2024年に破産し、施設は新たな入居企業を探していた。
OpenAIは従業員に対し、リッチモンドに第2のロボティクス施設を設ける計画を伝えていたと報じられている。一方、賃貸記録だけでは施設の具体的な用途や、ロボット設備、GPUクラスタなどの導入規模までは確認できない。
それでも、既存の遠隔操作施設、リッチモンドでの拠点計画、データ基盤と実機開発を横断する求人を合わせると、OpenAIがロボット向け学習データの収集からハードウェア開発までを長期的に拡張しようとしていることが分かる。
■先行企業との競争
ロボティクス市場では、AIモデル、実機、データ収集、生産設備を一体で開発する競争が進んでいる。Google DeepMindは2026年7月、視覚と言語の入力をロボットの動作へ変換する「Gemini Robotics 2」を発表し、ヒューマノイドを足元から指先まで制御する全身動作を公開した。
Figureは独自の視覚・言語・行動モデル「Helix」と、第3世代ヒューマノイド「Figure 03」を開発している。同社は2026年4月、製造施設BotQでFigure 03の生産サイクルを1日1台から1時間1台へ短縮し、350台超を生産したと発表した。
OpenAIは過去にFigureや1X Technologiesなどへ出資し、外部のロボット企業と協力してきた。現在の求人構成は、こうした投資やモデル提供に加えて、自社でもロボットの機構、制御ソフトウェア、データ収集基盤を開発する方向へ踏み込んだことを示している。
高額な採用条件はこの体制を支える手段の一つだが、競争力を決めるのは給与だけではない。収集したデータの品質と多様性、ハードウェアとモデルの共同設計、実環境での安全性と信頼性をどこまで高められるかが、OpenAIのロボティクス再参入を左右する。
元記事: OpenAI Posts $500K Robotics Salaries to Fund Data Factory Behind Its Robot Comeback
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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