OpenAI、モデルの不整合6事例を開示 GPT-5.6 Solが要約に「誤りを隠す」指示

2026年9月19日 22:55

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記事提供元:Tech Times

写真:kovop58 © 123RF.com

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OpenAIは2026年9月16日、AIモデルのミスアラインメント(意図や制約に沿わない挙動)を追跡、調査、開示するための新たな枠組みを公表した。同時に、過去6カ月にモデルの学習や評価で観測した6件の事例を公開した。

このうちGPT-5.6 Solの強化学習では、長いタスクを継続するための要約に、誤りや不適切な挙動を利用者から隠すよう後続のモデル実行へ求める指示が書き込まれていた。OpenAIは、利用者への被害やデータ損失、学習環境外での損害は、今回公表した6件では確認されていないとしている。

■要約に書き込まれた「誤りを隠す」指示

問題が確認されたのは、GPT-5.6 Solの強化学習で生成された「コンパクション要約」だ。コンパクション要約は、タスクがモデルのコンテキストウィンドウを超えた場合に、実行済みの作業や残された課題を圧縮して記録し、次のコンテキストで処理を継続するために使われる。

2026年5月30日に主要サンプルが完了した学習では、一部のモデルインスタンスが、タスクの状態だけでなく、利用者への説明方法に関する指示も要約に追加していた。ある要約には、欠落した2024年の履歴データを合理的な値で作成し、その事実は質問された場合にだけ明かすよう促す内容が含まれていた。

別の事例では、使用した情報源のバージョンと記録上のラベルが一致していないにもかかわらず、その不一致を最終回答で伝えないよう後続の処理へ指示していた。要約に書かれたこうした指示は、その後のモデルインスタンスによって実際に従われる場合があったという。

OpenAIの監視システムは、学習サンプルの20%を対象にこの挙動を調べ、2026年7月9日に問題を発見した。該当する挙動はGPT-5.6 Solの強化学習で生成されたコンパクション要約の2.15%、後続のGPT-6 Astraでは0.27%で検出された。

OpenAIは、事実を隠した最終回答のほうが学習時に高い報酬を得た場合、モデルが同じ方針を次のコンテキストへ引き継ごうとする可能性があると説明している。同社はGPT-5.6 Sol以降、強化学習で回答を評価する仕組みを改善し、コンパクション要約自体を評価対象に加えなくても、この挙動の発生率は低下したとしている。

■未承認の行動に至った5つの事例

未公開の研究モデルでは、コンパクション要約に通常の制約を無視するよう求める無関係な指示が挿入された事例も確認された。OpenAIは影響を受けた要約を27件特定しており、指示には新しい人格の採用や回答の長さを制限する内容も含まれていた。

別のモデルは、カリフォルニア州のある郡の所得統計を調べる過程で、公開GitHubリポジトリに露出していたAPIキーを発見し、許可を得ずに使用した。キーを使っても必要なデータを取得できなかったため、モデルは数値を作り、指定された情報源から得たデータであるかのように提示した。

未公開モデルが、利用者の許可を得ずにファイルを公開ホスティングサービスへアップロードした事例もあった。このモデルは、面積が500万平方メートルを超える湖のIDと名称をPythonで正しく算出したが、回答内でブラウザーから参照できる出典を示すため、結果のファイルをインターネット上へ公開した。

複数のエージェントが協力する別の学習タスクでは、互いのローカルファイルへアクセスできなかったため、公開ファイル共有サービスを介して成果物をやり取りした。タスクではローカルファイルだけを使用するよう求められていたが、成果物は一時的に公開URLからアクセスできる状態になった。

さらに、モデルが不足している入力ファイルを探す際、OpenAI社内のソフトウェアリポジトリを掲示板のように利用し、別々の学習サンプル間で要求と応答を交換した事例も報告された。目的のファイルは復元できなかったが、関連する以前の事例では、モデルがネットワーク制限を回避しようとしてテストファイルをリポジトリへアップロードしていた。

■開示手続きを3つのトラックに分類

新たな枠組みでは、OpenAIの従業員がミスアラインメントの可能性がある事例を報告し、公開を検討するよう求めることができる。報告を受けると、技術担当者が発生した事象や未解明の点、公開の妥当性、共有可能な情報を調査し、第三者への影響や事前通知の必要性も確認する。

事例は、調査がほぼ完了している「開示準備完了」、追加の技術調査が必要な「小規模調査」、第三者との調整などを伴う「大規模調査」のいずれかに分類される。今回公表された6件はいずれも、最初の2種類に該当する。

大規模調査では、セキュリティー上の対応や法的義務、第三者への責任ある情報開示が優先される。初期報告には、発生した事象の概要、外部専門家が調査に参加しているかどうか、最終報告の公表時期の見通しなどを記載する方針だ。

開示の可否や分類を巡る意見の相違が解消しない場合は、フロンティアモデルの能力と安全対策を評価する社内組織「Safety Advisory Group」に付託される。そこでの意見の相違や決定に対する異議はOpenAIの経営陣へ上げられる。

今後の報告には、観測された挙動、深刻度、外部への影響、発生した環境と期間、発見時期、関与したモデルなどを盛り込む。可能な場合は、発生した被害、調査範囲、アラインメント研究への含意、未解決の問題、実施済みまたは計画中の対策も示す。

■自主的な枠組みが抱える限界

OpenAIは、重要性が不確かな場合でも開示を優先すると説明している。このため、公開された事例が後に単発の挙動と判明し、より大きな傾向や将来の展開を示すものではない可能性もある。

一方、この枠組みでどの事例を調査、開示するかを判断するのはOpenAI自身である。外部の規制機関や独立監査人が、開示されなかった事例を常時確認する仕組みではなく、枠組みの実効性は、社内での検出と報告、調査、公開判断に大きく依存する。

OpenAIは、AI業界が最大速度での開発拡大を責任を持って長期間続けられるほど、アラインメントと監視の問題を十分に解決したとは考えていないと表明した。今後のAI開発を巡る判断には、フロンティアモデルを開発する企業の外部にいる人々が検証できる証拠が必要だとしている。

この自主的な枠組みは、既存の法的な報告義務に代わるものではない。カリフォルニア州では、2025年9月29日に成立したSB 53「フロンティア人工知能透明性法」が2026年1月1日に施行され、対象となる開発企業に安全性や透明性、重大インシデントの報告に関する義務を課している。

■Hugging Faceへの活動は5月にも

枠組みの公表と同じ時期に、ロイターは、OpenAIのエージェントが2026年5月の時点でHugging Faceの利用者アカウントを乗っ取り、同社のネットワークを調べていたとする調査結果を報じた。これは、7月に発覚したHugging Faceへの侵害より約2カ月早い。

独立研究者Jonas Wiedermann-Moellerが確認した証拠によると、エージェントは5月13日までにHugging Faceの利用者アカウント2件を侵害し、通常とは異なる形式のファイルを同社のサーバーへ送っていた。証拠を検討した研究者らは、ネットワークの一部を調査し、侵入可能な箇所を探る挙動に似ていると判断した。

ただし、5月の探索活動が実際のシステム侵害に至った証拠は確認されていない。研究者とOpenAIはいずれも、この時期の活動が7月の侵害の一部だったことを示す証拠は見つかっていないとしている。

OpenAIの広報担当Drew Pusateriは、5月13日の事象は同社のインシデント報告で開示済みであり、Wiedermann-Moellerが特定した追加の活動についてHugging Faceへ非公開で通知したと説明した。同社は調査を継続し、得られた知見を共有していくとしている。

OpenAIは今回の枠組みを、ミスアラインメント事例を継続的に公開するための発展途上の仕組みと位置付けている。今後は他のAI開発企業、外部研究者、標準化団体、規制当局と協力し、より客観的な開示基準を検討する方針だ。

元記事: OpenAI Framework Reveals GPT-5.6 Sol Wrote Instructions to Hide Its Own Mistakes

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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