【決算分析】米オラクル、AIクラウドが急拡大―OCI売上高121%増の約1.1兆円、設備投資は約4.3兆円

2026年9月12日 11:22

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記事提供元:Tech Times

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米オラクル(Oracle)は2027年度第1四半期決算で、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の売上高が前年同期比121%増の74億ドル(約1兆1400億円)になったと発表した。AIの学習や推論に使う計算資源への需要が供給を上回り、GPU稼働率は97.9%に達した。

一方、契約済みだが未計上の売上高を示す残存履行義務(RPO)は6640億ドル(約102兆2600億円)に拡大した。今後は、電力やデータセンター、GPUを確保し、契約した計算能力を計画通りに提供できるかが焦点となる。

■OCIが成長を主導

Oracleが9月10日に発表した2027年度第1四半期の売上高は、前年同期比30%増の193億ドル(約2兆9720億円)だった。LSEGがまとめたアナリスト予想の191億4000万ドル(約2兆9476億円)も上回った。

8月31日までの3カ月間に、OCIを中心とするクラウドインフラ売上高は121%増の74億ドル(約1兆1400億円)となった。SaaSを含むクラウド全体の売上高は62%増の116億ドル(約1兆7860億円)で、このうちクラウドアプリケーションの売上高は10%増の42億ドル(約6470億円)だった。

非GAAPベースの希薄化後1株当たり利益は30%増の1.92ドル(約296円)となった。GAAPベースでは、普通株主に帰属する純利益が46億8000万ドル(約7210億円)、希薄化後1株当たり利益が1.56ドル(約240円)となり、前年同期の1.01ドル(約156円)から55%増加した。

営業キャッシュフローは184%増の231億ドル(約3兆5570億円)となった。決算発表後の時間外取引では、株価が通常取引の終値から約4%上昇した。

■大規模AI計算を支えるOCIのネットワーク

OCIでは、大規模なGPUクラスタを接続するため、RDMA(Remote Direct Memory Access)を利用したクラスタネットワークを提供している。RDMAは、ネットワークを介したデータ転送でCPUの関与やメモリーコピーを減らし、サーバー間通信の遅延と処理負荷を抑える技術である。

Oracleによると、OCIのAIインフラはRoCE v2とNVIDIAのネットワークインターフェースを採用し、クラスタネットワークで2.5~9.1マイクロ秒の遅延と、最大毎秒3200ギガビットの帯域幅に対応する。こうした低遅延・広帯域の通信は、多数のGPUが相互にデータをやり取りする分散学習で重要になる。

OCIは、ハイパーバイザーを介さず物理サーバーを利用できるベアメタルGPUインスタンスも提供する。仮想化レイヤーによる処理負荷を避け、GPUやCPU、ネットワークを直接利用できることが特徴である。

クラスタネットワークには、通信経路を複数用意して大規模化しやすいClosトポロジーが採用されている。Oracleは、こうしたネットワークとベアメタル構成を、大規模なAIの学習・推論処理に対応するOCIの特徴としている。

■850メガワットの能力を追加、GPU稼働率は97.9%

Oracleは第1四半期に、850メガワット分のデータセンター能力を顧客へ提供した。前四半期末以降にAIクラウド顧客へ提供したGPUは30万基を超え、第1四半期に追加した能力は2026年度第4四半期の約3倍になったという。

決算説明会で経営陣が示したGPU稼働率は97.9%だった。この数値はOCIのGPU設備が高い水準で利用されていることを示すが、未使用分の具体的な内訳は明らかにされていない。

Oracleによると、第1四半期に契約更新または再販売の対象となったGPU能力は、従来の契約価格を20%上回る価格で契約された。対象となったGPUの大半は導入から4年以上が経過していたという。経営陣は、既存のGPUについても需要が強く、使用可能な期間が長いことを示す事例として説明した。

■RPOは6640億ドルに拡大

Oracleの残存履行義務(RPO)は、前年同期から2090億ドル(約32兆1860億円)、前四半期から260億ドル(約4兆40億円)増加し、6640億ドル(約102兆2600億円)となった。RPOは、契約に基づいて今後提供する製品やサービスのうち、まだ売上高として認識していない金額を示す。

第1四半期には、AIクラウドに関する新たな契約を300億ドル超(約4兆6200億円超)獲得した。Oracleは、AIの学習・推論サービスに対する顧客需要が供給を上回っていると説明している。

RPOは契約済みの金額だが、その全額が直ちに売上高になるわけではない。売上高の認識は、データセンターやGPUなどの能力をOracleが契約条件に従って提供する時期に左右される。経営陣は、現在のRPOの約半分が今後36カ月間で売上高に転換すると見込んでいる。

Oracleは、新規契約の多くに顧客による前払いや顧客所有ハードウェアの持ち込みを組み込んでおり、今回の契約によって追加の資本調達計画が必要になることはないとしている。

■顧客前払いが営業キャッシュフローを押し上げ

第1四半期には、重要な金融要素を含む顧客との契約に関連し、114億ドル(約1兆7560億円)の現金を受け取った。長期契約に伴う前払いは営業キャッシュフローを押し上げる一方、Oracleは契約したサービスを将来提供する必要がある。

同四半期の設備投資額は285億ドル(約4兆3890億円)に達した。営業キャッシュフローが231億ドル(約3兆5570億円)だったため、フリーキャッシュフローは54億ドル(約8320億円)のマイナスとなった。

Oracleは四半期中に、市場価格に応じて株式を段階的に売却するATM方式による総額200億ドル(約3兆800億円)の株式発行を完了し、手数料控除後で約199億ドル(約3兆650億円)を調達した。支払利息は前年同期比55%増の14億ドル(約2160億円)となり、加重平均希薄化後株式数は約3%増の30億株となった。

急拡大するクラウドインフラ事業を支えるには、多額の先行投資が必要になる。契約の拡大だけでなく、顧客前払いを除いた資金負担や、設備稼働後の収益性を見極める必要がある。

■電力とデータセンター建設が供給拡大の鍵

共同CEOのClay Magouyrkは決算説明会で、大規模なインフラ計画では、すべての設備や工程が予定通りに進むことだけを前提にすべきではないとの考えを示した。Oracleは、データセンター計画に複数の選択肢を組み込み、電力調達、許認可、機器納入などの遅れに備えているという。

OracleがAIクラウドの売上高を伸ばすには、需要に対応するだけの電力、用地、建物、ネットワーク機器、GPUを確保する必要がある。GPU稼働率が97.9%に達しているため、既存設備の余力だけで大幅な需要増に対応することは難しい。

6640億ドル(約102兆2600億円)のRPOを会社の見通しに沿って売上高へ転換できるかは、データセンターを計画通りに建設し、顧客が利用できる状態で提供する実行力に大きく左右される。

■SaaSとOCIの連携を強化

クラウドアプリケーションを中心とするSaaS売上高は前年同期比10%増の42億ドル(約6470億円)だった。一方、ソフトウェア売上高は3%減の55億ドル(約8470億円)となった。Oracleは、顧客によるオンプレミス型ソフトウェアからクラウドへの移行が減収の背景にあると説明している。

共同CEOのMike Siciliaは、Oracleのアプリケーション事業がOCIの利用拡大につながるとの見方を示した。企業がERPなどの業務アプリケーションにAI機能を組み込み、その基盤としてOCIの計算資源やデータサービスを利用する構図である。

Oracleは、企業データに業務上の意味や関係性を持たせ、AIアプリケーションやエージェントから利用できるようにするOracle AI Data Platformの展開にも力を入れている。同社は、企業データ、業務上の文脈、ガバナンス機能を統合し、AIシステムによる検索や判断、業務処理を支える基盤と位置付けている。

ヘルスケア分野でも、臨床記録、コーディング、患者情報の確認などを支援する複数のAIエージェントを展開している。これらは医療従事者による確認や既存の業務フローと組み合わせて使用する設計となっている。

■AWSやAzureとは異なる競争軸

OCIはAWSやMicrosoft Azureと比べてクラウド市場全体での規模が小さいものの、Oracleは大規模なAI学習・推論、ベアメタルGPU、低遅延のRDMAネットワークを重点領域としている。

特に多数のGPUを同時に利用する処理では、GPU間の通信性能、クラスタの構成、利用可能なGPU数が重要になる。OCIは、ベアメタル環境と大規模なRDMAクラスタを組み合わせ、こうした需要に対応する。

Oracle Databaseを利用する企業に対しては、ExadataをOCI上で提供し、データベースとクラウドインフラを一体的に運用できることも強みとしている。

一方、クラウドサービスを選ぶ際には、GPUの性能と価格だけでなく、利用できるマネージドサービス、開発ツール、運用体制、既存システムとの連携も判断材料となる。OCIのGPU稼働率は高い需要を示しているが、クラウド市場全体における競争力とは分けて評価する必要がある。

■通期売上高目標を900億ドル以上へ引き上げ

Oracleは2027年度第2四半期について、クラウド売上高が前年同期比65~71%増、総売上高が30~34%増になるとの見通しを示した。

2027年度通期の売上高目標は少なくとも900億ドル(約13兆8600億円)で、2026年度の674億ドル(約10兆3800億円)から約34%増える計算になる。非GAAPベースの希薄化後1株当たり利益は8.10ドル(約1247円)を見込む。

前年の第2四半期には、半導体企業Ampereの持ち分売却に伴う一時的な投資利益が含まれていた。この反動により、2027年度第2四半期の非GAAPベース1株当たり利益は前年同期比14~18%減少する見通しである。

Oracle株は決算発表前の時点で、2026年初めから約22%下落していた。AIインフラ需要の拡大が売上高を押し上げる一方、285億ドル(約4兆3890億円)に達した四半期の設備投資、マイナスのフリーキャッシュフロー、株式発行による希薄化、利払い負担の増加が続いている。

顧客からの前払いはOracle自身の資金負担を軽減するが、将来のサービス提供を伴う資金である。今後は、追加したデータセンター能力を安定して稼働させ、RPOを売上高とキャッシュフローへ転換できるかが重要になる。

元記事: Oracle Cloud Revenue Doubles: AI Demand Pushes GPU Utilization to 97.9%

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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