SpaceXなど米宇宙企業4社、パリ国際宇宙サミットを欠席へ 米政府が参加に難色

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9月9~10日にパリで開かれる国際宇宙サミットを前に、SpaceX、Blue Originなど米国の宇宙企業4社が参加を取りやめた。米政府は企業側に出席を禁じる正式な指示は出していないものの、参加が米国と対立する欧州の政策方針への支持と受け取られる可能性があると伝えていた。
■SpaceXなど米国企業4社が参加取りやめ
SpaceX、Blue Origin、ロケット開発企業のStoke Space、宇宙データセンターを計画するStarcloudは9月3日、国際宇宙サミットへの参加を取りやめるとフランス当局に通知した。サミットは9月9~10日、パリのグラン・パレで開かれる。
Politicoとロイターの報道によると、ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)はサミットのおよそ1週間前、参加を予定していた米国の宇宙企業と電話会議を開いた。OSTPの担当者は、出席が米国と見解を異にする欧州の政策方針への支持と受け取られる可能性があると説明し、参加に否定的な姿勢を示したという。
担当者は、フランスが米国と十分に調整せずサミットを企画したと指摘し、同国の対応を「反競争的」と批判した。サミットのパネル構成についても、米国側の視点や産業界の取り組みが十分に反映されていないとの懸念を伝えたとされる。
一方、OSTP側は企業に出席を取りやめるよう明示的に命令したことを否定している。米政権は同盟国や友好国との宇宙協力を続けており、科学ミッション、宇宙探査、宇宙安全保障などを巡るサミットでの議論に期待しているとの見解を示した。
フランス高等教育・研究・宇宙省は4社の不参加を確認した。同省の担当者は、参加取りやめと米政府による圧力の報道を結び付けずに考えることは難しいとする一方、ほかの米国企業はサミットに参加すると説明した。
■約120の代表団が宇宙の将来を議論
国際宇宙サミットは、フランスが初めて開催する首脳級の宇宙会議である。約120の海外代表団を招き、各国の首脳や政府関係者、国際機関、科学者、宇宙飛行士、軍関係者、企業幹部、市民社会の代表者らが参加する予定だ。
サミットでは、低軌道の利用拡大、宇宙経済の形成、科学研究、月探査、人材育成、宇宙の安全保障と持続可能性など、相互に関連する課題を扱う。フランスのエマニュエル・マクロン大統領と欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長も登壇する予定である。
欧州の宇宙関係者によると、サミットは政策や予算を決定する会議ではなく、各国や国際機関、民間企業が今後の協力や行動の方向性を話し合う場と位置付けられている。SpaceXなどの不参加を受けても、サミットは予定通り開催される。
米欧企業がサミットで予定していた一部の発表も取りやめになったと報じられている。ただし、対象となった企業や案件の詳細は公表されていない。
■EUの宇宙規制と周波数配分が対立点に
今回の働きかけの背景には、宇宙活動に対するEUの規制や衛星通信に使う周波数の配分を巡る米欧間の対立がある。
米政府は、EU域内で活動する域外企業にも共通の安全性や持続可能性の要件を課す「EU宇宙法案」に懸念を示してきた。米国側には、こうした規制がSpaceXをはじめとする米国企業に追加の負担を課し、欧州企業を有利にするとの見方がある。
フランスとドイツは、移動体衛星通信に利用する周波数を欧州企業にもより多く配分するよう求めている。欧州側は、衛星通信や打ち上げを米国企業だけに依存せず、独自の能力を確保することを重視している。
その柱の一つが、EUの衛星通信網「IRIS²」である。EUは2024年12月、衛星通信事業者のSES、Eutelsat、Hispasatが参加するSpaceRISEコンソーシアムと事業契約を結んだ。当初は290基の衛星を使う計画だったが、2026年8月の実施合意を受け、現在は低軌道と中軌道に計348基を配置する構成となっている。
IRIS²は、EU加盟国の政府機関、防衛・安全保障機関、緊急対応機関などに安全性と耐障害性を備えた通信を提供するとともに、企業や市民向けの高速通信にも利用する構想だ。欧州域内の通信基盤を強化し、特定の域外事業者への依存を抑える狙いがある。
■急増する衛星と国際調整の必要性
地球低軌道では、衛星通信網を構成する多数の小型衛星が運用されるようになり、周波数調整、衝突回避、スペースデブリ対策、運用終了後の軌道離脱などの重要性が高まっている。
Starlinkを展開するSpaceXは世界最大の衛星運用事業者であり、低軌道の利用ルールや周波数配分の変更から大きな影響を受ける立場にある。米連邦通信委員会(FCC)は2026年1月、SpaceXによる第2世代Starlink衛星7500基の追加配備を認可し、認可済みの第2世代衛星は計1万5000基となった。
周波数の国際調整は国際電気通信連合(ITU)の枠組みで進められる一方、衛星の認可や軌道離脱期限などは各国の国内制度に左右される部分が大きい。FCCは米国で認可する低軌道衛星について、原則として運用終了後5年以内の軌道離脱を求めている。
米連邦航空局(FAA)は2026年1月、ロケット上段などを打ち上げから25年以内に軌道から除去するよう求める規則案を撤回した。対象は運用中の人工衛星ではなく、商業打ち上げで軌道上に残るロケット上段などである。FAAは撤回理由として、寄せられた意見をさらに検討し、法的権限や費用への影響を精査する必要があると説明した。
こうした制度は対象や所管当局が異なり、世界共通の単一規則として整備されているわけではない。衛星数の増加に対応するには、国内規制に加え、周波数や軌道利用、衝突回避などを巡る国際的な協調が重要になる。
■米国は商業宇宙産業を重視
トランプ政権は2026年8月20日、新たな国家宇宙輸送政策を定めた国家安全保障大統領覚書17に署名した。同政策は2030年までに米国内で年間1000回を超える打ち上げと再突入に対応できる体制の構築を掲げ、民間との共同投資、許認可の迅速化、打ち上げ施設へのアクセス改善を進めるとしている。
同政策は、米国の宇宙輸送産業を拡大し、海外市場への参入や米国の技術標準の普及を後押しする方針も明記した。今回のサミットを巡る米政府の姿勢には、欧州との協力を維持しながら、米国企業に不利になり得る規制や市場環境を警戒する考えが表れている。
一方、フランスとEUは、宇宙への自律的なアクセスと衛星通信基盤の確保を戦略上の優先課題としている。フランスは2025年11月、2026~2030年の軍事宇宙分野に42億ユーロを追加投入し、民生・軍民両用の宇宙計画にも2030年までに160億ユーロ超を投じる方針を示した。
パリの国際宇宙サミットは、宇宙の持続可能な利用や国際協力を目指す一方、規制、市場競争、安全保障、技術的自立を巡る各国の利害が交差する場でもある。米国を代表する宇宙企業4社の不参加は、宇宙政策を巡る米欧の隔たりを改めて浮かび上がらせた。
元記事: White House Pushed SpaceX and Blue Origin Out of Paris Summit to Protect Starlink
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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