AIデータセンター建設で人材争奪、Meta・OpenAI・BlackRockが米労組と相次ぎ連携

2026年8月14日 14:31

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記事提供元:Tech Times

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AIインフラに大規模投資する米国のOpenAI、BlackRock、Metaが、北米建築労働組合(NABTU)と相次いで提携した。Metaが8月12日に発表した提携では、同社の人材育成プログラムが、組合系と非組合系の双方の建設人材育成ルートと連携する。AIデータセンターの建設需要が拡大する中、各社は熟練労働者の確保と、地域社会との関係構築を進めている。

■AIインフラ大手が相次いでNABTUと提携

過去5カ月の間に、OpenAI、BlackRock、Metaが、北米建築労働組合(NABTU)との正式な提携や覚書を発表した。NABTUは建設労働者の供給者にとどまらず、米国のAIインフラ整備を支える人材育成パートナーとして存在感を高めている。

8月12日に発表されたMetaとNABTUのパートナーシップには、他社との取り組みとは異なる特徴がある。Metaはすでに非組合系の建設業界団体と人材育成プログラムを運営しており、今回NABTUの登録徒弟制度と連携することで、組合系と非組合系の双方の育成ルートに接続することになる。MetaとNABTUは、全米のAIインフラ建設を担う熟練労働者のキャリア形成を支援する方針だ。

NABTUの登録徒弟制度ネットワークは、Metaがすでに運営している「America's Workforce Academy(AWA)」と連携する。AWAは、Metaが2026年6月に関連建設業者・請負業者協会(ABC)およびCBREと共同で立ち上げた、初期投資額1億1500万ドル(約182億8500万円、1ドル=159円換算)の取り組みである。ABCは非組合系の建設業者を代表する主要な全国団体であり、NABTUは組合系の建設労働組合を束ねる主要な連合体だ。両者の育成ルートが単一企業の人材プログラムに組み込まれるのは、建設業界では珍しい取り組みといえる。

■5カ月で3つの提携が発表

MetaとNABTUの発表は単独の動きではない。その2日前の8月10日、NABTUはBlackRockおよびAI Infrastructure Partnership(AIP)と覚書(MOU)を締結した。AIPは、AIやエネルギー関連のインフラ投資を推進するための枠組みである。この覚書により、NABTUはAIPの想定プロジェクトに関する情報を人材計画に活用し、将来の需要を見据えて徒弟制度の利用拡大、訓練、採用活動を検討できるようになる。

BlackRockに先立ち、OpenAIも2026年3月にNABTUとの正式なパートナーシップを発表した。OpenAIが労働組合と正式に提携するのはこれが2度目だった。OpenAIのグローバルアフェアーズ担当チーフであるクリス・ルヘイン氏は、2030年までに10ギガワットの計算能力を整備するには、現在より20%多くの技能労働者が必要になるとの見通しを示した。OpenAIはNABTUの訓練および採用プログラムを支援するため、5年間で150万ドル(約2億3850万円)を提供すると表明した。

2026年4月、OpenAIとNABTUは3月のパートナーシップを具体的なプロジェクトへと発展させた。ミシガン州セイリーン郡区に建設されるOracleとOpenAIのStargateキャンパス「The Barn」に関する労働協約である。この数十億ドル規模の施設では、2,500人以上の技能労働者と見習いの雇用が見込まれている。NABTUのショーン・マクガーベイ会長は、これを「データセンター建設に関するNABTUとOpenAIの歴史的な覚書の下で建設される初のデータセンター」と説明した。

■NABTUがもたらす労働力以上の価値

一連の提携は、テクノロジー企業にとってのNABTUの価値が、人材の供給だけにとどまらないことを示している。

米国ではデータセンター建設への支出が急増し、建設業界における重要性を高めている。データセンターは建設地域の雇用を生む一方、水の使用、電気料金への影響、騒音などを理由に、地域住民や自治体による反対に直面することもある。Newsweekの報道によると、データセンター建設に反対する団体の会員数は、2025年12月から2026年8月中旬までに大幅に増えたという。

建設労働組合は、テクノロジー企業との思想的な一致からではなく、データセンター建設が組合員に大きな雇用機会をもたらすとの判断から、こうした反対運動に対抗する場面がある。NABTUのチーフ・オブ・スタッフであるマイク・モンロー氏は、Bloomberg Lawの取材に対し、技能労働者を供給する能力だけでなく、地域社会とどのように関わるかもNABTUの価値の一部だと説明している。その活動の場には、市議会、州議会の公聴会、地域住民とのフォーラムなどが含まれる。

そのため、NABTUとの提携は、地域の労働組合との関係構築という政治的な意味も持つ。水の使用や電力コストをめぐって一部地域で懸念を向けられているMetaにとって、NABTUが代表する地域や州の建設労働組合協議会との連携は、徒弟制度による人材育成に加え、地域社会との対話を進める足掛かりにもなり得る。

■America's Workforce Academyの仕組みとNABTUによる変化

2026年6月にABCおよびCBREとともに立ち上げられたAWAは、建設業界への入り口を提供する短期訓練プログラムだ。Metaの案内では、建設職向けとファイバー技術者向けに、それぞれ4週間の研修が用意されている。参加者の費用負担はなく、授業料、航空運賃、宿泊費、教材費、日当などをMetaが負担する。プログラム修了者には、Metaのパートナー企業での仕事が用意されるとしている。

建設職向けプログラムの修了者は、建設教育・研究に関する米国の非営利団体であるNational Center for Construction Education and Research(NCCER)の業界資格などを取得する。Metaは、電気、機械設備、配管など、需要の高い分野の資格取得につながる研修を提供すると説明している。

プログラムは2026年に、ルイジアナ州バトンルージュ、インディアナ州インディアナポリス、テキサス州ヒューストン、オハイオ州コロンバスの4都市で始まった。応募は全50州から可能で、建設業の経験は問われない。Metaが以前CBREと共同で実施したファイバー技術者向けの取り組み「Level-Up」には、1,000人の枠に対して最初の7日間で3万5,000件以上の応募があったとされる。

NABTUとの連携がもたらすのは、この短期研修を終えた後の長期的なキャリア形成ルートである。NABTUは北米全土に1,900以上の徒弟訓練・教育施設を持つ。建設職種の登録徒弟制度は一般に複数年にわたり、実地訓練と関連する技術教育を組み合わせる。見習いは訓練期間中も賃金を受け取り、技能の習得やプログラムの進行に応じて賃金が上昇する。

したがって、人材パイプラインは2層構造になる。AWAの短期研修は、建設業への入り口と基礎資格を提供する。NABTUの登録徒弟制度は、その後の実地訓練と技術教育を通じて、参加者がより高度な技能を身につけるための道筋を提供する。Metaにとっては、当面の建設現場に人材を供給するだけでなく、長期にわたって技能を高められる人材育成基盤を確保することになる。

■組合の電気工事士はすでに多くのデータセンター建設に参加

今回の正式なパートナーシップは、すでに広く存在していた関係を制度として明確にするものでもある。Fortuneの報道によると、NABTUの加盟組合である国際電気労働組合(IBEW)は、組合員が米国のデータセンタープロジェクトの90%以上に関与しているとしている。一方、米国の建設労働者全体に占める組合員の割合は約11%とされる。

この差の背景には、データセンターの電気設備の複雑さがある。AI向けの高密度な計算設備では、従来型のサーバーラックより大きな電力が必要になる。中圧開閉装置、静止型切替スイッチ、蓄電システムなどを扱うには、専門的な技能や資格が求められる。IBEWの組合員が多くのデータセンター建設に携わっているのは、こうした技能を持つ電気工事士を育成、供給する仕組みを持っているためだ。

AWAのABCとのパートナーシップは、関連する技能を持つ非組合系の人材にも門戸を開いている。NABTUを加えることで、Metaは組合系と非組合系の双方の人材育成ルートを利用し、地域ごとに異なる労働市場に対応しながら、請負業者が採用できる人材の範囲を広げられる。

■Metaがサプライチェーン投資として人材育成に資金を投じる理由

AWAは参加者にとって費用負担のないプログラムだが、Metaにとっては慈善活動だけでなく、サプライチェーンへの投資という性格を持つ。Metaの2026年の設備投資見通しは1,300億〜1,450億ドル(約20兆6700億〜23兆550億円、1ドル=159円換算)であり、その多くがAIインフラに向けられる。同社が同時に進めるプロジェクトは、大規模な建設人材需要を生み出している。

インディアナ州レバノンでは、Metaが1ギガワットのデータセンターを建設しており、建設のピーク時には4,000人以上の雇用を支える見込みだ。テキサス州エルパソでは、BlackRockと共同で1ギガワットのデータセンターキャンパスを開発している。Metaは同施設に100億ドル以上を投資し、BlackRockとの共同事業を通じて開発と所有を進めるとしている。

ルイジアナ州リッチランド郡にあるMetaのHyperionキャンパスは、5ギガワットの計算能力まで拡張される計画で、完成後は同社最大規模のデータセンターの一つとなる。カナダのアルバータ州では、Metaが2026年7月に同国初のデータセンターを着工した。投資額は130億カナダドル超で、ピーク時には約3,000人の建設労働者を支える見込みである。

米国とカナダの複数地域でこうしたプロジェクトを同時に進めるには、単一の採用手法だけでは賄えない規模の人材が必要になる。ギガワット級データセンターの建設遅延による損失は、人材育成プログラムへの投資を大きく上回る可能性がある。その意味で、AWAはサプライチェーン上のリスクを抑えるための投資でもある。

■この業界動向が労働者にとって意味するもの

技能職への転職や就職を検討する人にとって、AIインフラ投資は新たな機会を生み出している。米国労働省は2026年7月、成果連動型インセンティブ支払いプログラムを通じて約1億6200万ドル(約257億5800万円)を拠出し、造船、防衛産業、AI・半導体・原子力インフラ、電気通信、IT、自動車整備などの分野で登録徒弟制度を拡大すると発表した。

登録徒弟制度の賃金は、職種、地域、労働協約、経験年数によって大きく異なる。一般に見習いは訓練開始時から賃金を受け取り、技能の習得に応じて昇給する。AWAは経験を問わない無料の短期研修と就業への入り口を提供し、NABTUの登録徒弟制度は、その後の複数年にわたる訓練と資格取得の道筋を提供する。

ただし、データセンターの建設職の多くはプロジェクト単位であり、単一の現場で恒久的に続く仕事とは限らない。典型的なハイパースケールデータセンターは、建設段階では多数の作業員を必要とするが、完成後の常勤運用スタッフはそれより少なくなる。北バージニア、テキサス州中部、オハイオ州、インディアナ州、アリゾナ州など、建設案件が継続する地域では、労働者が複数のプロジェクトを移りながら働くことも可能だが、仕事は一つの雇用主ではなく建設案件の所在地に左右される。

AIデータセンターへの投資規模が拡大していることは明らかだ。Meta、OpenAI、BlackRockのインフラ部門をはじめとする多くの企業がAIインフラを建設している。NABTUが5カ月の間に3つの主要パートナーとの提携や覚書を発表したことで、登録徒弟制度を通じてAIインフラ建設に参加する道筋は、以前より明確になりつつある。

■正式な組合提携は政治的計算を変えるか?

MetaとNABTUのモデルがほかのハイパースケーラーにも広がるかどうかは、人材育成の成果だけでなく、データセンター建設を取り巻く政治環境にも左右される。複数の州で水の使用、電気料金、地域社会への影響に関する規制が検討される中、建設労働組合は、テクノロジー企業と地域社会をつなぐ存在になり得る。

ペンシルベニア州建設労働組合協議会のロブ・ベア会長は、Fortuneの2026年5月の報道で、地域社会はデータセンタープロジェクトから何を必要としているかを検討し、テクノロジー企業に直接求めるべきだと述べた。「求めなければ、決して得られない」という。この発言は、組織労働者が、建設を望むテクノロジー企業と、地域への利益還元を求める住民との間をつなぐ役割を担えることを示している。

AWAと「Future Is For Everyone Fund」は、Metaが示している対応策の一部である。同基金は、データセンターの立地地域における教師や初期対応者への支援、エネルギー、水インフラへの投資などを対象としている。

こうした対応が規制や地域住民の懸念に応えられるかどうかは、Metaの主要なデータセンタープロジェクトが今後、州や自治体の承認手続きを進める中で問われることになる。

■注目ポイントQ&A

●America's Workforce Academyとは何ですか?誰が応募できますか?

America's Workforce Academy(AWA)は、Metaが2026年6月に関連建設業者・請負業者協会(ABC)およびCBREと共同で立ち上げた、初期投資額1億1500万ドルの技能職訓練プログラムです。Metaの案内では、建設職向けとファイバー技術者向けに、それぞれ4週間の対面研修を提供します。授業料、航空運賃、宿泊費、教材費、日当などはMetaが負担します。修了者にはMetaのパートナー企業での仕事が用意され、建設職向け研修ではNCCERの業界資格などを取得できます。応募は全50州から可能で、建設業の経験は問われません。2026年の研修拠点は、ルイジアナ州バトンルージュ、インディアナ州インディアナポリス、テキサス州ヒューストン、オハイオ州コロンバスです。

●なぜMetaは組合系(NABTU)と非組合系(ABC)の両方の建設パートナーと連携するのですか?

米国の建設労働市場には、NABTUの14の加盟組合や1,900以上の訓練・教育施設につながる組合系のルートと、ABCに代表される非組合系のルートがあります。全国では建設労働者の約11%が組合員とされる一方、データセンターでは専門的な電気設備を扱える組合系の技能労働者が多くのプロジェクトに参加しています。ABCとNABTUの双方と連携することで、Metaは地域ごとに異なる労働市場に対応し、請負業者が採用できる人材の範囲を広げられます。

●登録徒弟制度とは何ですか?AWAの短期研修とはどう違うのですか?

登録徒弟制度は、米国労働省または州の徒弟制度機関に登録された、働きながら学ぶ複数年の訓練プログラムです。実地訓練と関連する技術教育を組み合わせ、見習いは訓練期間中も賃金を受け取ります。修了者には、対象職種で通用する業界認定資格が与えられます。AWAの4週間の研修は建設業への入り口と基礎資格を提供するものであり、NABTUとの連携により、修了後に長期の登録徒弟制度へ進む道筋が明確になります。

●なぜ大手テクノロジー企業は今、建設労働組合と連携しているのですか?

主な理由は、AIデータセンター建設に必要な技能労働者を安定して確保するためです。AIインフラでは、電気、配管、空調、溶接、ファイバー敷設など、多数の専門職が必要になります。NABTUは北米で14の加盟組合、320万人を超える技能労働者、1,900以上の徒弟訓練・教育施設を擁しています。また、データセンター建設への地域的な懸念が強まる中、労働組合は地域社会や自治体との対話を支えるパートナーにもなり得ます。

元記事: Meta Joins OpenAI and BlackRock in Sealing Union Pacts for AI Data Centers

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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