ベテルギウスの急速な減光の原因とみられる現象、ハブル宇宙望遠鏡がとらえる

2020年8月15日 16:02

印刷

記事提供元:スラド

2019年後半から2020年初めにかけてベテルギウスの急速な減光が話題となり、その理由についてさまざまな仮説が立てられたが、減光の原因になったとみられる現象をハブル宇宙望遠鏡がとらえていたそうだ(ニュースリリース論文アブストラクト)。

ハブル宇宙望遠鏡は2019年1月からベテルギウスの紫外光分光観測を行っており、2019年9月・10月・11月には高温で高密度の物質がベテルギウスの光球から出て大気を抜けていく様子をとらえていたという。この物質はベテルギウスが通常放出する量の2倍と推定され、9月~11月には時速20万マイルで光球から大気に抜けていたそうだ。物質はその後もベテルギウスから離れていき、数百万マイルの距離に到達すると冷えて塵に変わった。物質は地球の方向に放出されたため、手前を覆った塵によりベテルギウスが減光したとみられる。ベテルギウスは2020年4月までに元の明るさに戻っている。

この物質はベテルギウスの大きな対流セルから放出された超高温のプラズマで、大量放出の原因はわかっていないが、ベテルギウスが膨張する周期に一致したことで大気からの流出が促進されたことが予想されている。 

スラドのコメントを読む | サイエンスセクション | サイエンス | 宇宙 | NASA

 関連ストーリー:
NASA、核がばらばらになった彗星C/2019 Y4(ATLAS)の映像を公開 2020年05月02日
消えた系外惑星、そもそも惑星ではなかったとの研究成果 2020年04月25日
ベテルギウスの減光が停止、増光に転じ始める 2020年03月04日

※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。

関連記事