ロボ団で身につける21世紀型の人間力【ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け】

2019年8月13日 09:12

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記事提供元:biblion

 【第2回】本連載は、ロボットプログラミング教室「ロボ団」を運営している重見彰則さんによる書籍『ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け』から、課題発見力と創造力、そして課題を解決するソリューションを生み出す力を培うロボ団のメソッドをお伝えします。

ロボ団で身につける21世紀型の人間力【ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け】

 本連載は、書籍『ロボ団の法則 子どものチャレンジを引き出すプログラミング教室の仕掛け』(重見彰則著、2019年6月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

ロボットプログラミング教室「ロボ団」とは

ロボットプログラミング教室「ロボ団」とは小学生を中心としたロボット制作とプログラミング教室です。日本全国50教室以上、海外でも展開中!体験会・ご見学は随時受付中!

21世紀型の力をつけるロボ団教育の特徴

 一般的な習い事は、技能を鍛えるためのものです。例えば、「水泳教室」は速く泳げるようになるための技能習得の場、「ピアノ教室」は上手にピアノを弾けるようになるための技能レッスンの場です。
 もちろん、ロボ団でもプログラミングの技能を高めていくことをひとつの目標にしています。しかし、それだけではありません。ロボ団は「21世紀型の力」を身につけることを目指しています。
 「21世紀型の力」とは、非認知能力とも言い換えられます。非認知能力とは、IQなどのように測れる認知能力とは異なる、人間(ヒト)の力です。

 ①「忍耐力」や「情熱」など目標に挑み続ける力
 ②「社会性」や「思いやり」など他者と関わる力
 ③「自信」や「楽観性」など感情をコントロールする力
 などを指します。非認知能力は今、世界中から注目され、各国で育成に力を入れられています。

 なぜ非認知能力が大事なのでしょうか。それは、非認知能力が認知能力を高める基盤にもなるからです。難易度の高い数学の設問に対して粘り強く考えるには、非認知能力が必要です。
 また、社会に出ればわからないことだらけです。自分の課題は何かを認識して、学び続ける姿勢を築くことが必要になります。さらには、他者と協力して、仕事を成し遂げるためには他者と関わる力も欠かせないものとなるでしょう。

 ロボ団は、プログラミングスキルの向上を大事にしながらも、こうした非認知能力を育み、社会に出てからもそれを活かすことができる人材を育てることにつなげたいと考えています。そのため、「協調性」「論理的思考力」「課題設定力・解決力」を育むような教育方針をとっています。
 第2回目では、ロボ団でどのように「21世紀型の力」を育んでいるのか、ご紹介していきたいと思います。

ロボコンでゴール達成のためのコミュニケーション力を育成

 小学校低学年くらいですと、他者と協力して何かをやり切ることは難しいものです。
 ロボ団では、ロボットプログラミングの活動をペアで行うことにより、相手が誰であろうとも理解できるように話すコミュニケーション能力を身につけていくことができます。ロボ団では、成果の指標のひとつとしてロボコンを設定しています。
 ロボコンは前提として、チームで出場するものです。協調性やチームで得られる達成感、コミュニケーション能力、そして仲間がいたからこそやり切ることができるという力(「done.」)を養えることが、教育的価値だといえます。

 ロボットを組み立てることも、プログラミングをすることも、1人で自宅にこもってできることですが、このような「21世紀型の力」を身につけていくことは他者の存在がなければできません。

 2018年は、自立型ロボットによる国際的なコンテスト「WRO」に出場し、成果が最高に出た年でした。世界中の子どもたちがそれぞれロボットを制作し、プログラムにより自動制御する技術を競うコンテストです。日本から出場した5チーム中2チームがロボ団のチームでした。
 ロボ団がハイレベルなロボコンでここまでの成果を出すことができた理由は、2つあると思っています。1つは、プログラミング教室はカリキュラムに定められた通りにレッスンをこなすだけのことが多いのに対して、ロボ団は子どもたち自身に考えさせる活動を中心に置いていることです。

 ロボコン当日は、その場で発表されるルールに合わせて、臨機応変にタイムマネジメントをしながら、課題をクリアできるようにロボットを組み立てていかなければいけません。つまり、覚えたことをそのまま披露するという場ではなく、柔軟に判断し、課題に対応していかなければならないのです。
 大会に出たら、子どもたちだけで考えて取り組まなければいけません。講師が口を出したり、サポートをしたりすることはできません。そうした大会だからこそ、自分で考えさせることを重視した、ロボ団の教育が生きたのではないかと思っています。

 ロボ団チーム活躍の理由の2つめは、レッスンは毎回ペアラーニングで行っていることです。ロボコンの時だけチームを組んでみても、チームワークは発揮しにくいものです。普段個人で取り組んでいる子どもたちは、すべてを自分でやりたがりますし、自分の考えを貫こうとします。しかし、ロボ団の子どもたちは、自然に自分の役割を果たそうとし、相手と話し合う姿勢を持ちます。これは、プログラミングスキルだけでなく、「21世紀型の力」を養うというロボ団の教育の成果であると感じています。
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課題解決力・課題発見力を養う

 社会を生き抜いていくには、課題を見つけて、それに対して工夫し、解決策を講じる力が必要です。つまり、課題解決の方法を創造する「クリエーション」と、それを実現する「ソリューション」が重要となるのです。

 社会に出たら、答えはひとつでないことがほとんどです。
 プロセスがいくつかある、その自由の中から、選び取ることで課題解決の力をつけていくことができるのです。スタートからゴールまで行く中で、まっすぐ進む方法もあれば、右側から攻めていく方法もある、左側の急斜面からよじ登るという方法だってあるわけです。

 ロボ団ではこうした課題発見力や課題解決力の育成も重視しています。
 レッスンでは、「お題」を提示して、その課題を解決するためにどうすればいいかを考えさせます。ゴールに向かって、試行錯誤しながら、課題解決力をつけていくことができるのも、プログラミングのよいところです。

 例えば、ロボ団のテキストでは、「ロボットがすべてのマス目を通るようにプログラミングしなさい」といった課題が出されます。それをクリアする方法は、何通りもあるわけです。プロセスが変われば、プログラムの内容だって変わります。子どもたちは、自分自身で考えて、どういうふうに進めば一番効率的なのかを考えます。

 課題発見力は、ロボコンに出場させることで成長させようと企図しています。レッスンだけでなく、ロボコン出場を教室の目標とすることで、課題解決力・課題発見力を養っていくことができているのです。

論理的思考力を培うプログラム設計を行う

 ロボ団では、これまでお伝えしてきた通り、自分で考えることを大事にしています。また、プログラミングは試行錯誤する中で、論理的思考力を築いていくことができる学びです。そのため、論理的思考力も養われていきます。
 次の図は、ロボ団に通う子どもたちの論理的思考力の伸びを表すデータです。
 (5343)

 他にも、3時間プログラミング活動をし続ける集中力、そして「done.」(やり切る)をロボ団では養うことができています。こうした一つ一つの力の育成こそが、子どもの未来を拓くのだと信じています。

 (次回に続く)

書籍著者:重見 彰則さん

書籍著者:重見 彰則さん夢見る株式会社代表取締役。1985年兵庫県生まれ。関西大学総合情報学部に入学。卒業後は経営コンサルティング会社で中小企業を支援する業務に従事する。“人”の重要性を痛感し、教育分野での起業を決意し、2012年に夢見る株式会社を設立。「ロボ団」をFC事業で国内外100教室以上を展開。 元のページを表示 ≫

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