川内優輝がプロランナーに転向へ

2018年4月21日 19:21

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■公務員ランナーからプロランナーへ

 最強の市民ランナーとして知られている川内優輝が来年4月からプロランナーへ転校することを表明した。川内は最近ではサブ20(フルマラソンを2時間20分以内で完走すること)の完走数で世界記録を更新したり、ボストンマラソンで優勝したりとマスコミをにぎわせている。日本では「プロランナー」という言葉になじみがないが、外国では存在している。

 要は自分でスポンサーを見つけ、レースでの賞金で食べていくということだ。「無謀だ」という意見が出てくるかもしれないが、彼のレース本数を見れば安定した成績を残すことが分かっているため杞憂に終わる可能性が高い。さらに先日優勝したボストンマラソンの優勝賞金は15万ドル(約1,605万円)。税金の問題はあるにせよ、これだけで公務員で数年間稼いだこととなる。ボストンマラソンは賞金額の高いレースのためできすぎということは言えるが、他の大会でも稼ぐことは想像できる。

■マラソン界への影響は

 川内のプロ転向は日本マラソン界にとってもいい影響を及ぼす可能性は高い。日本のランナーは箱根駅伝を経て実業団に入り、ニューイヤー駅伝を主戦場としてフルマラソンにも挑戦するという流れが主流だった。しかしみんながみんな同じ調整で速くなるわけではない。すでにMGCを決めた大迫傑はアメリカのナイキ・オレゴン・プロジェクトでトレーニングを行っている。19年ぶりに日本記録を樹立した設楽悠太は箱根から実業団という流れには違いないがチームでのトレーニングというよりは独自の色を出している。高校卒業から実業団に進んだ住友電工の遠藤日向がニューイヤー駅伝で区間賞をとったのも新たな道の開拓という意味では明るい兆しだ。

 今日本マラソン界は大きく変わり始めている。良いか悪いかは別として「おもしろい」ということは違いない。

■この時期でのプロランナー転向は

 最後に川内のこの時期でのプロランナー転向について検証したい。31歳でのプロランナー転向に関してだが決して遅いということはない。オリンピックの代表に選ばれるくらいのマラソンランナーのピークは、20代後半~30代前半くらいである。川内はまさに今この年齢にあてはまるわけだが、彼のレース経験の豊富を加味すれば今後急に失速するということは考えづらい。

 マラソン経験を重ねるとレース当日にピークの持って行き方が分かってくる。よって彼は日本のトップランナーの誰よりもそれが分かっており、一番安定した成績を残す可能性を持っている。もちろん安定感だけでなく好成績も残すことができるので、まだまだレースで稼ぐということができる。さらにスポンサーがつく可能性も高いため、この時期での転向は決して遅いというわけではないはずだ。

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