【CCBT】2026年度アーティスト・フェロー5組を決定 !「シビック・ファッション」をテーマに都市と身体の新たな関係を探る

プレスリリース発表元企業:公益財団法人東京都歴史文化財団

配信日時: 2026-06-25 14:00:00

5年目を迎えるアート・インキュベーション・プログラム。2026年度のアーティスト・フェローは、 加藤明洋、小宮りさ麻吏奈、05(牧原依里+和田夏実)、高橋鴻介、楊いくみ。



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シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](以下、CCBT)では、CCBTのパートナーとして活動する2026年度アーティスト・フェローの公募・選考を行い、5組のフェローを選出しました。
年度を通じて展開する「アート・インキュベーション・プログラム」は、国内最大規模のアーティスト・フェロー制度で、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すものです。
2026年度は「シビック・ファッション」をテーマに、社会を映し出す記号でありながら、個の表現可能性を限りなく有するファッションの性質を手がかりに、市民の自発的なムーブメントによる“まだない何か” を一時的に形づくる企画・表現活動を募集しました(応募総数127件)。
AI・ロボット・人間が関与する人工物生態系を構想するプロジェクト、言葉と環境の両側面から自⼰の定義を問い直すリサーチと実践、身体動作や視覚表現を起点とした新たなコミュニケーションの設計、多元的な眼差しを都市に実装する試み、東洋絵画の遠近法を手がかりとした都市型パフォーマンス・インスタレーションの創作、それぞれ異なるアプローチから「シビック・ファッション」を考察する5組の提案が採択されました。

2026年度アーティスト・フェローおよび提案プロジェクト (タイトルは2026年6月時点)
加藤明洋 「ノラロボ」
小宮りさ麻吏奈 「Skinsphere」
05(牧原依里+和田夏実) 「KINEOTYPE」
高橋鴻介 「多元性の展望台」
楊いくみ 「早春図」


主催:東京都、シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)

公式ウェブサイト
1. 2026年度 アーティスト・フェロー
加藤明洋 「ノラロボ」
自然環境の中で生存を試みる小型ロボット「ノラロボ」を放ち、ロボット、AI、人間が相互に関与しながら進化を続ける「人工物生態系」の構築を試みるプロジェクト。ノラロボが生存中に記録する日記や遺言をもとにAIが次世代機の進化プランを提案し、生存と進化のサイクルを繰り返すことで、人工物ならではの生態や継承のあり方を探究する。その過程はワークショップや展示としてひらかれ、テクノロジー、環境、人間の新たな関係性を想像するための視点を立ち上げる。
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参考:「かぞくっち」(菅野創+加藤明洋+綿貫岳海、2022年、SusHi Tech Tokyo)

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加藤明洋 / Kato Akihiro
1992年愛知県生まれ。情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了。 ウェブ・エンジニアリングを基盤に、ブロックチェーン、AI、人工生命、映像などを用い、テクノロジーと社会の関係を問う作品を制作する。



審査員コメント
都市で生きる私たちは、環境や他者との関係の中で、無意識に身体やふるまいを形づくられている。本企画は、「ノラロボ」という、どこか違和感のある人間ではない存在を都市に介在させることで、市民の反応や関係性を引き出し、都市の空気や構造を可視化しようとする実験的な試みとして興味深い。人々はそれを避けるのか、受け入れるのか、関わろうとするのか、そしてロボはそこから何を受け取るのか。そのように人々が身体を通して他者や環境と関係を編み直していく身体性の可能性を感じた。違和感を通じて都市を読み替える試みに期待したい。(石川由佳子)


小宮りさ麻吏奈 「Skinsphere」
身体・言語・環境を含む総体的な「⽪膜/interface」を纏うことの意味の再構築を通して、「自⼰とは何か」を問い直すプロジェクト。揺れ動くアイデンティティの土壌に対して、わたしたちを定義する様々な言葉を「言語環境」として再思考するとともに、身体に棲みつく細菌叢を通して惑星における共生体としての「身体環境」を再発見する⼆軸からのアプローチを図る。多様な主体との対話や協働、リサーチと実践の往還を通じて、個人と社会の関係性を捉え直す視点をもたらすことを目指す。
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参考:「CLEAN LIFE」 (2025年、WHITEHOUSE) Photo by Ujin Matsuo

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Photo by Miyuki Toudou
小宮りさ麻吏奈 / Komiya Lisa Marina
クィア的視座から「新しい生殖の方法を模索する」ことをテーマに、バイオテクノロジー、パフォーマンス、映像、インスタレーション、漫画などメディアにとらわれず活動している。共同プロジェクトとして「繁殖する庭」、「FAQ?」など。



審査員コメント
ファッションを身体・言語・環境を含む総体的な「⽪膜/インターフェース」として再定義しようとする本プロジェクトは、クィア的視座からオルターナティブな生殖・繁殖の方法を検討してきた小宮が市民参加に開く初の試みである。身体やファッションを複数の生や情報が動的に交換される共生体として捉え、「言語環境」と「バクテリアを含む身体環境」の側面からリサーチ、バイオテクノロジーを用いたワークショップや作品制作などが構想されている。自身を⾮人間を含む他者そして空気などとつながる存在として発見することで多様な生を浮上させようとするコンセプト、身体、社会、環境を(資本の論理や社会規範に絡め取られることを回避しつつ)なだらかにつなげていくオルターナティブで批評的な方向性を評価した。実施においては、「言語」と「身体」環境をいかに関係づけていくかが課題と思われる。(四方幸子)


05(牧原依里+和田夏実) 「KINEOTYPE」
視覚言語である手話を第一言語として使用する作家らが、身体動作や視覚表現を起点に都市空間と身振りの関係性を再発見し、新たなコミュニケーションのあり方を設計・実装するプロジェクト。ろう者と聴者の協働のもと、多様な身振りを収集・分析し、デジタルアーカイブとして共有基盤化する。さらに、見通しや距離、光の活用等、視覚言語的空間設計の原理を応用した仕掛けを公共空間に実装し、参加型パフォーマンスを通じて身振りによる相互作用の創出を試みる。

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参考:「An Image of…」 (Natsumi Wada , Yasuaki Kakehi、2021 年、21_21 DESIGN SIGHT)


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05(牧原依里+和田夏実) / 05(Makihara Eri + Wada Natsumi)
映画作家・演出家の牧原依里(ろう者)と研究者・クリエイターの和田夏実(CODA)によるユニット。視覚言語文化拠点「5005」を拠点に、視覚身体言語の可能性を共に探求している。



審査員コメント
無数の人が集う東京。その数だけ身体があり、無限の可能性があるはずだが、私たちはそれを活かしきれているだろうか。ただ都市から一方的に価値を享受するだけでなく、身体を通じて人と人が真に交感し合う状況はどう作れるのか。本作品は、ろう者と聴者の対話を既存の手話という枠に留めず、新たな身体言語の創出に挑む意欲作である。福祉の視点を出発点としながらもその壁を越え、希薄化した現代のコミュニケーションを未踏の領域へと引き上げてくれるはずだ。本作が、現代都市に新たな気付きを与えてくれることを、深く期待している。(津川恵理)


高橋鴻介 「多元性の展望台」
都市に対して異なる身体・知覚・経験を持つ人々の視点を採集し、その多元的な眺め方を体験できる仮設建築「展望台」を都市に実装するプロジェクト。市民参加型のフィールドワークによる「発見」、採集した視点を体験へと変換する「変換」、都市空間へのインストールを行う「実装」の 3フェーズで構成される。異なる身体性から立ち現れる都市の豊かさをひらき、硬直した都市への眼差しを更新することを目指す。
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参考:「Braille Neue」(2019 年、渋谷区役所、Panasonic Center Tokyo 他)

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撮影:中川正子
高橋鴻介 / Takahashi Kosuke
異なる文化や人の間に、よい関わりを生みだすための発明とデザインを行っている。主な発明品に、点字と文字が一体になった書体「Braille Neue」、触覚コミュニケーションゲーム「YUBIBO」など。



審査員コメント
都市には多様な人を包摂する仕組みが必要だが、点字ブロック等の物理的整備は「解決すべき課題」という文脈に留まりがちだ。本作品は、異なる知覚を持つ人々の視点を困難の象徴ではなく、都市を新鮮に捉え直す「豊かな資源」として再定義している。単なるバリアフリーを超え、他者の目に映る世界の面⽩さを感性レベルで共有するこの試みは、真に多元的な包摂のあり方を提示している。ただの展覧会に閉じず、街なかでの開かれた体験を通じて多様な人が参加し、そこから新たな発明が連鎖していくような実践を期待したい。(関治之)


楊いくみ 「早春図」
ファッションは自⼰表象に有効な装置として信じられているが、「選択すること」と「与えられること」の境界は今日も存在するだろうかーーという問いを起点に、東洋絵画の遠近法「三遠(高遠・深遠・平遠)」の概念を方法論として都市空間に投影したパフォーマンス・インスタレーションを展開する。同時多発的に分散して立ち上がる状況群は、一つの出来事としてリアルタイムで編み直され、公開される。演者と鑑賞者の境界を揺るがしながら、冬の時代にある自⼰の先に訪れる「早春」の風景を探る。
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参考:「<p.§.>」(2023 年、渋谷PARCO)

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楊いくみ / Yang Ikumi
インスタレーション、パフォーマンス、映像を横断しながら、鑑賞者の移動や知覚を含めた空間的な作品を制作している。身体が共同的な場へと移行していくトランジションの過程を可視化する。



審査員コメント
ファッションを「装い」と捉えるならば、シビック・ファッションとは「都市の装い」と呼ぶことができよう。原宿・渋谷において同時多発的に行われるパフォーマンスと、それが同時中継された映像をひとつなぎに統合する映像からなる本作品において、パフォーマーと町中でそれを鑑賞する参加者はともに都市の装いの一要素となる。彼/彼女らの身体が都市を劇場化することによって見慣れた日常の風景がどのように変容するのか。そして、都市に点在するパフォーマンスがひとつの映像に統合されることでどのような鑑賞体験が作り出されるのか。本企画を通じて新しいシビック・ファッションの一様態が生まれることを期待している。(蘆田裕史)


*2027年3月までのフェローによる活動(レクチャー、ワークショップ、作品発表等)はウェブサイトおよびSNSでお知らせします。

2. CCBT アーティスト・フェロー活動とは
クリエイティブ × テクノロジーで東京をより良い都市に変える表現・探求・アクションをつくり出す、 国内最大規模となるアーティスト・フェロー制度

CCBTのコアプログラム「アート・インキュベーション」では、公募・選考によって選ばれたクリエイターを「アーティスト・フェロー」として委嘱しています。フェローは、CCBTを拠点に企画の具現化と発表に取り組むとともに、創作プロセスの公開やレクチャー・ワークショップの開催など、CCBTのパートナーとして多彩な活動を展開します。CCBTは、最大1,000万円の制作費に加え、制作スペースの提供、技術・マネジメント面での支援、メンターをはじめとする専門家によるアドバイスなどを通じて、フェローの活動を全面的にサポートします。

アーティスト・フェローの活動 
(1) 新たな表現の創造・研究開発および発表
 CCBTを拠点に創作活動・研究開発等を行い、その成果をCCBTおよび都内にて発表・展開する。
(2) 創作活動・研究プロセスの公開
 創作活動およびそのプロセスの公開や、ワークショップ、レクチャー、ハッカソン等の開催を通じ、市民がテクノロジーを通じた創造性を学ぶ機会を創出する。
(3) 多様な人々との協働と共創
 市民、アーティスト、デザイナー、エンジニア等、CCBTに集う人々、さらにはCCBTを取り巻く様々な主体との協働を牽引し、未来を共創する場を創造する。

フェロー委嘱予定期間
2026年7月1日から2027年3月31日まで

2026年度アーティスト・フェローの活動には、ファッション論、アーバニスト、キュレーター、シビック・テック、建築家など、多彩な専門性を持つメンターが伴走します。

2026年度メンター
・蘆田裕史 (ファッション論、京都精華大学デザイン学部教授)
・石川由佳子(アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナー)
・四方幸子(キュレーター・批評家/十和田市現代美術館館長)
・関治之(一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事)
・津川恵理(建築家、ALTEMY代表)

本プログラムでは、これまでの4年間に20組のアーティスト・フェローとともに市民と協働し、パフォーマンスやインスタレーションなど新たな作品/表現を創出してきました。CCBTで生まれた作品群は独自の視点や実験性が高く評価され、作品の更新や拡張を経て、国内外の多様な都市や文脈において紹介されています。

アート・インキュベーション・プログラムおよびこれまでのフェローの活動について
https://ccbt.rekibun.or.jp/core-programs/art-incubation

3. 2026年度 公募概況
2026年度は「シビック・ファッション」をテーマに公募を行い、127件の応募がありました。 7名の審査員による書類・面接審査を通して、5組の2026年度 CCBTアーティスト・フェローを採択しました。

募集活動テーマ 「シビック・ファッション」
時々の社会的背景や制度を映し出す記号でありながら、多元的な個の表現可能性を限りなく有するファッション。その性質を起点に、テクノロジーによる変容可能性を手がかりとして既存の常識や習慣を超えた「まだない何か」を 一時的に“成し”、実践するあらゆるクリエイティブな企画・表現活動。
(申込受付期間:2026年4月1日~ 4月19日)

審査員
・蘆田裕史(ファッション論、京都精華大学デザイン学部教授)
・石川由佳子(アーバニスト、エクスペリエンス・デザイナー)
・四方幸子(キュレーター・批評家/十和田市現代美術館館長)
・関治之(一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事)
・津川恵理 (建築家、ALTEMY代表)
・小川秀明(CCBTクリエイティブディレクター)
*加えて、CCBTテクニカル・ディレクターも審査に参加

総評
「クリエイティブ×テクノロジーで東京をより良い都市に変える」をステートメントに掲げて活動するCCBTは、第 5 回公募のテーマを「シビック・ファッション」とした。原宿へ拠点を移した CCBT は、ファッションを市民が実践を通して生み出すムーブメントとして捉え、その応答を募集した。127件の応募に対し厳正な審査が行われ、市民に開かれた共創的な提案が選定された。小宮りさ麻吏奈の「Skinsphere」は、バイオアートを通じて新たな身体観を問い、05(牧原依里+和田夏実)の「KINEOTYPE」は、多様な感覚と身体を起点に都市の言語を構想する。加藤明洋の「ノラロボ」は AI・ロボットによる自律的な生態系を提示し、高橋鴻介の「多元性の展望台」は市民共創による都市体験の更新を試みる。楊いくみの「早春図」は、街全体を舞台とした実践を展開する。これらの提案は、「ファッション」を単なる⾐服や消費の枠組みから解き放ち、市民とクリエイターの関係性のなかで生成され続けるプロセスとして捉え直す試みといえる。今後の制作を通じて、それがいかなる社会的実践として具体化されていくのかを注視したい。(小川秀明)


公式ウェブサイト:https://ccbt.rekibun.or.jp/core-programs/art-incubation
■シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT] https://ccbt.rekibun.or.jp/
アートとデジタルテクノロジーを通じて人々の創造性を社会に発揮するための活動拠点。実験と創作のための開かれたラボとして、多彩なプログラムを展開し、クリエイティブ×テクノロジーで東京をより良い都市に変える原動力となっていきます。

東京都渋谷区神宮前1-14-4 1/1(ONE) HARAJUKU “K” B1、3F    電話 03-5458-2700
開館時間:13:00~19:00  ※休館日: 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)
主催:東京都、シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)

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