航空エンジンの供給力強化へ、P&Wがポーランド拠点拡張 2028年稼働予定

2026年10月25日 13:49

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記事提供元:Tech Times

ポーランド・ジェシュフにあるプラット・アンド・ホイットニー新施設の拡張に向けた起工式の模様。(写真:rtx.com)

ポーランド・ジェシュフにあるプラット・アンド・ホイットニー新施設の拡張に向けた起工式の模様。(写真:rtx.com)[写真拡大]

米RTX傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)は2026年10月23日、ポーランド南東部ジェシュフで、1億ドル(約157億円)を投じる新工場の着工を発表した。民間機用のギヤード・ターボファン(GTF)や軍用のF135、F100など、航空エンジンの需要拡大に対応する。

RTXによると、新工場は2028年に稼働する予定だ。米ジョージア州コロンバスで進める鍛造設備の拡張と合わせ、圧縮機・タービンディスクなどの重要部品の生産量を30%増やす計画である。

■発表から約6カ月で着工へ

P&Wは4月22日、カトヴィツェで開かれた欧州経済会議でジェシュフへの投資を公表した。新施設では、恒温鍛造された部品の加工や熱処理、検査を担う。既存拠点に重要な回転部品の製造能力を加える事業だ。

10月の発表によると、新工場の面積は6500平方メートルで、120人を超える雇用を創出する見込みだ。ジェシュフ拠点のゼネラルマネジャー、ピョートル・オウシツキ氏は着工に際し、「本日、私たちはその計画を現実に変え始める」と述べた。

式典にはジェシュフ市長のコンラト・フィヨウェク氏、ポトカルパチェ県の自治政府を率いるヴワディスワフ・オルティル氏、中央政府を代表する県知事のテレサ・クバス・フル氏が出席した。米コロンバス拠点で回転部品関連の事業を担当するバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー、ジェイソン・コスマス氏も参加した。

■米国の鍛造設備とポーランドの加工能力を拡張

ジェシュフへの投資と連動するのが、P&Wが2月に発表したコロンバス・フォージへの2億ドル(約314億円)の投資だ。同拠点に7基目の恒温鍛造プレスを導入し、GTFやF135などに使う重要部品の供給力を高める。

恒温鍛造は、金型と素材をほぼ同じ温度に保ちながら成形する方法で、加工の難しい航空エンジン用合金にも用いられる。日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の資料でも、高圧タービンディスクの製造における精密な温度制御の重要性が説明されている。

P&Wがジェシュフに整備する工程には、熱処理に加え、超音波検査に適した形状へ部品を整える加工や検査が含まれる。鍛造品の供給を増やす米国側の投資と、その後の加工・検査能力を広げるポーランド側の投資によって、生産工程全体の能力を引き上げる構成だ。

RTXは、両事業が2028年までに全面稼働し、対象となる重要部品の生産量を30%増やせると見込む。航空機メーカーや航空会社にとっては、エンジンの新規生産と運用中の機材を支える部品供給の双方が関心事となる。

■GTFの受注残は8000基超、Airbusも増産を計画

P&Wは7月22日時点で、GTFエンジンの受注残が8000基を超えたと発表した。2026年に入ってから獲得した受注と購入の確約は800基を超え、長期的な需要に対応するための生産能力拡張を進めている。

エンジンの供給は、航空機メーカーの生産・納入計画にも影響する。Airbusによると、2025年6月末にはエンジン待ちの完成機が60機あった。ロイターは同年7月、供給遅延の大部分はCFM製エンジンに関するものだったが、P&W製も不足していたと報じた。

Airbusのギヨーム・フォーリCEOは2026年2月、P&Wが当初受け入れていた同年の発注数量から後退したとして、納入見通しと増産計画への影響を説明した。また、契約上の権利を行使するため、契約に定める紛争処理の手続きを開始したと明らかにした。

その後、ロイターが7月29日に報じたところでは、フォーリ氏は紛争解決に向けて建設的に取り組んでいると説明し、2027年の供給約束の履行に期待を示した。AirbusはA320ファミリーについて、2027年末に月産70~75機へ引き上げ、その後は75機で安定させる目標を掲げている。

■新規納入と整備の両面で供給力を強化

RTXのクリストファー・カリオCEOは7月23日の第2四半期決算説明会で、2026年のGTFエンジン納入数が過去最多になるとの見通しを示した。新造機への納入を進める一方、整備拠点への部材供給にも取り組んでいる。

同社によると、A320neoファミリー向けのPW1100搭載機で、エンジン関連の理由から運航できない機体数は、2026年上半期に年初比25%減少した。カリオ氏は、この改善を整備・修理・オーバーホール(MRO)の実績によるものと説明した。

10月20日の第3四半期決算説明会では、RTXはPW1100のMRO処理量が前年同期比35%超増えたと説明した。夏場の高稼働に伴うエンジン取り外しを整備の増加でおおむね吸収し、運航停止機数は前四半期からほぼ横ばいとなったとして、第4四半期の減少を見込んでいる。

■民間・軍用エンジンを支える航空産業集積地

ジェシュフの既存拠点は、民間・軍用エンジンやターボプロップ、補助動力装置の製造・技術開発を担う。製造品にはGTFのファン駆動用ギアシステム、F100の静止構造部品、F135の主要部品がある。F135はF-35戦闘機のA・B・Cの全3型に搭載されるエンジンだ。

さらに、PT6、PW200、PW500/600、PW800の各エンジンファミリーに属する、ヘリコプターやビジネスジェット、一般航空機向けのエンジンも製造している。新施設は、こうした既存の製造基盤に回転部品の加工能力を加える。

RTXによると、2026年10月時点でポーランドは同社にとって米国外で最大の投資・雇用拠点である。コリンズ・エアロスペース、P&W、レイセオンの3事業を合わせ、9500人を超える従業員が働いている。

ジェシュフを中心とする地域では、2003年に航空関連企業などを結ぶ「アビエーション・バレー」が設立された。企業、研究、教育の連携を積み重ねてきた航空産業の集積地に、今回の投資で鍛造品の加工・検査を担う設備が加わる。

元記事: P&W Breaks Ground in Poland as Airbus Warns Engine Shortfalls Will Persist Through 2026 — Here’s What Changes by 2028

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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