ティム・バートンとカズオ・イシグロが新作映画を企画 戦後日本が舞台と報道
ティム・バートン監督とノーベル文学賞作家カズオ・イシグロが、オリジナル映画を共同で企画している。イシグロは2026年10月15日、BFIロンドン映画祭で脚本を書いたと明かした。Deadlineによると、バートンが監督する計画で、物語の舞台は第二次世界大戦後の日本と複数の関係者が話している。
■2人で構想を練った新作
イシグロは、自宅を訪ねたバートンとアイデアを出し合い、自身が脚本を書いたとDeadlineの取材に語った。プロデューサーを交えずに生まれた企画で、既存の小説を映画化するものではないという。
企画は開発段階にあり、キャストや配給会社、製作開始時期、正式タイトルは発表されていない。バートンの次回監督作になるかも決まっていない。物語の詳しい内容も明らかにされておらず、戦後日本という舞台設定はDeadlineが関係者の話として伝えたものだ。
発言の場となったのは、イシグロの小説をタイカ・ワイティティが映画化した『クララとお日さま』のワールドプレミアだった。映画祭の公式情報によると、上映は10月15日に行われ、ジェナ・オルテガが主人公クララを演じている。
■イシグロが描いてきた戦後日本
イシグロは1954年に長崎で生まれ、5歳で英国へ移住した。初期の長編『遠い山なみの光』(1982年)と『浮世の画家』(1986年)は、ともに戦後の日本を舞台にしている。前者は英国で暮らす悦子が長崎での日々を振り返り、後者は画家の小野益次が自らの過去を語る作品だ。
『遠い山なみの光』では、悦子の回想が進むにつれて記憶の揺らぎが浮かび上がる。『浮世の画家』でも、小野の語りを通して、過去の行為と現在の自己認識との隔たりが描かれる。記憶や語りへの関心は、イシグロの作品を読み解く重要な手掛かりだ。
脚本家としては、黒澤明監督の『生きる』(1952年)を英国に移して再構成した『生きる LIVING』(2022年)を手がけた。オリヴァー・ハーマナス監督による同作で、イシグロは米アカデミー賞の脚色賞にノミネートされた。
■映像表現と日本映画をめぐる接点
バートン作品には、周囲から異質な存在として見られる人物が繰り返し登場する。『シザーハンズ』のエドワードや『ビートルジュース』のリディア・ディーツは、その代表例だ。怪奇的な造形と、人物への親しみを重ねる映像表現が持ち味となっている。
日本の怪談にも、死者や霊の出現を通じて、人々が抱える感情や過去を描く作品がある。『ゴジラ』(1954年)は別の形で時代の不安を映した映画だ。東宝の作品紹介では、水爆実験の影響でゴジラが目覚めたと説明されている。
美しさや喪失をめぐる表現を考える際には、本居宣長が論じた「もののあはれ」も一つの補助線になる。バートン作品の人物が抱える孤独と並べて見ることはできるが、新作の映像や物語については今後の発表を待つ段階だ。
■記憶を考えるための研究と歴史
記憶の「再固定化」は、過去を思い出した後、記憶が再び安定する過程を指す。カリム・ネイダーらが2000年に発表した研究は、ラットの恐怖記憶を使い、想起後の記憶の維持に脳内のタンパク質合成が関わることを示した。イシグロの小説に見られる揺れ動く回想を考える際、記憶が動的な過程であるという研究は興味深い手掛かりになる。
個人の記憶に加え、何を公に語れるかという社会的な条件も戦後日本を考えるうえで重要だ。占領期には報道や映画への検閲が行われ、原爆被害の表現も制約を受けた。社会学者モーリス・アルヴァックスの集合的記憶論は、記憶が共有される枠組みに目を向ける視点を与える。
被爆者が結婚や就職で差別を受けた歴史もある。放射線影響研究所によると、これまでの被爆者の子どもを対象とする調査では、親の被爆による健康影響は観察されていない。同研究所は2025年、親子のゲノムを調べる新たな研究の開始も発表した。
■『クララとお日さま』と2人のAI観
『クララとお日さま』は、人間の少女の友人となる人工知能のクララを語り手とした小説だ。映画版のクララ役を務めるオルテガは、バートンが製作総指揮や監督として参加するドラマ『ウェンズデー』にも主演している。米ソニー・ピクチャーズは、映画版の米国公開日を2026年10月23日としている。
2人はAIについてもそれぞれ発言してきた。バートンは、自身の作風を模したAI画像に不快感を示した。イシグロは2021年のガーディアン紙のインタビューで、AIや遺伝子編集、ビッグデータの進展に懸念を語っている。
イシグロはまた、創作物をAIの学習に利用する際には著作権を尊重すべきだと述べている。こうした発言や『クララとお日さま』は両者の関心を知る材料になるが、新たな共同企画の題材や製作日程は、今後の発表によって具体化することになる。
元記事: Tim Burton and Kazuo Ishiguro Announce Post-WW2 Japan Film on Collective Forgetting
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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