ハッブル、岩石系外惑星TOI-2431 bの二次食を初検出 昼側の熱を探る

地球周回軌道上のハッブル宇宙望遠鏡。研究チームはハッブルの広視野カメラ3(WFC3)を用い、岩石系外惑星TOI-2431 bが主星の背後に隠れる「二次食」を検出した。Credit: NASA[写真拡大]
ハッブル宇宙望遠鏡が、岩石系外惑星TOI-2431 bの二次食を初めて検出した。主星の背後に惑星が隠れる際のわずかな減光から、研究チームは灼熱の昼側の明るさを測定した。今後はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の中間赤外線観測を組み合わせ、惑星の熱放射や大気の手掛かりを調べる計画だ。
■ハッブルが捉えた岩石惑星の二次食
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのセバスチャン・ジーバ氏らの論文は、2026年9月25日にThe Astrophysical Journal Lettersへの掲載を受理された。チームはハッブルの広視野カメラ3(WFC3)のG141グリズムを使い、TOI-2431 bの公転に伴う明るさの変化を近赤外線で観測した。岩石系外惑星の二次食をハッブルで検出した初の成果だ。
二次食は、惑星が主星の背後に隠れる現象である。その間に減る光の量から、惑星の昼側に由来する熱放射と、惑星が反射する恒星光の合計を測れる。惑星が主星の前を横切るトランジットとは、得られる情報が異なる。
研究チームが解析したハッブルの観測は2022年2月に行われ、惑星の公転位相を一周以上にわたって捉えた。G141の観測波長域はおよそ1.1~1.7マイクロメートルで、チームが解析した帯域での二次食の深さは69ppm(上側の誤差14ppm、下側の誤差13ppm)だった。ppmは100万分の1を表す。
■主星の近くを5時間22分で公転
TOI-2431 bは、地球から約36パーセク(約117光年)離れたK型矮星を5時間22分で公転する。軌道半径は約0.0063天文単位(約94万km)で、地球と太陽の距離に比べて極めて近い。主星の明るさと惑星の高温は、微弱な二次食を調べるうえで有利な条件となった。
2026年3月にAstronomy & Astrophysicsで発表された発見論文によると、半径は地球の1.534±0.033倍、質量は6.2±1.6倍、平均密度は9.4±2.5g/cm³である。密度は測定誤差を考慮すると地球に近い岩石質の組成と整合する。反射率をゼロと仮定した平衡温度は2063±30K(約1790℃)で、表面の一部または大部分が溶融している可能性がある。
発見研究を主導したアムステルダム大学のカヤ・ハン・タシュ氏らは、TESSのトランジットデータに、NEIDとHabitable-zone Planet Finderによる視線速度測定、NESSIによる高コントラスト撮像を組み合わせて惑星の性質を調べた。タシュ氏はこの研究を含む修士論文で、2025年11月24日にオランダ王立科学人文学協会の天文学分野の賞を受けた。賞金は3000ユーロ(約54万円)だった。
発見論文では、惑星の公転周期は、潮汐力による破壊の目安となるロッシュ限界での周期より約30%長いと推定している。採用した潮汐モデルでは、限界に達するまでの時間は約3100万年となるが、この推計は恒星内部で潮汐のエネルギーがどれほど失われるかという仮定に左右される。同論文は、潮汐力によって惑星が主星の方向へ細長く変形している可能性も示した。
■昼側の推定温度を左右する反射光
研究チームは、TESSが可視光で測定した二次食の深さ37±10ppmと、ハッブルの近赤外線データを合わせて解析した。惑星から届く光を主に熱放射とみなし、反射光を無視した場合、昼側の輝度温度は2524K(上側の誤差77K、下側の誤差84K、約2251℃)となる。輝度温度は、観測された光の強さを温度で表した値だ。
この値は、反射率がゼロで昼側から夜側への熱の再分配もないと仮定したモデルの温度2574K(上側の誤差36K、下側の誤差35K)に近い。両者の比は0.980で、研究チームはこの条件下で、昼側に熱が集中する解釈と整合するとしている。
可視光と近赤外線では、惑星の熱放射に反射光も重なる。研究チームの計算では、幾何アルベドを0.1と仮定すると反射光がTESSとハッブルの各帯域で約11ppmを占め、推定輝度温度は2407K(上側の誤差91K、下側の誤差102K)となる。異なる波長で観測を重ねることが、昼側の温度と反射率を絞り込む鍵になる。
■位相曲線が示す昼夜の明るさ
惑星が公転する間の明るさの変化を示す位相曲線からは、昼側と夜側の明るさの差も調べられる。ハッブルのデータでは、夜側からの放射はゼロと整合し、最も明るい場所が主星に正対する地点からずれる兆候も測定されなかった。研究チームは、昼側から夜側への熱輸送が弱いという解釈と整合するとしている。
溶岩惑星の比較対象には、かに座55番星eがある。レニュ・フー氏らが2024年に発表したJWSTの観測結果は、この惑星に一酸化炭素や二酸化炭素などに富む大気が存在する可能性を示した。高温の岩石惑星を複数の波長で調べることで、表面からの放射、反射光、大気の働きを比較できる。
TOI-2431 bについては、JWSTの中間赤外線観測装置MIRIを使い、約5~12マイクロメートルで公転に伴う明るさの変化を測る計画がある。研究チームは、熱放射が優勢になるこの波長域をTESSとハッブルのデータに加え、昼側の温度や熱輸送をより詳しく調べる見通しだ。一酸化ケイ素や二酸化ケイ素に由来するスペクトルの特徴も、岩石由来の蒸気を調べる手掛かりになる。
元記事: Hubble Finds Lava World at Theoretical Max Temperature in First Rocky Eclipse
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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